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THE WORLD  作者: SEASONS
4月24日
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2108/2199

撤退はしない

突如として轟く爆音。


激しい爆発音が響いて砦が震えた。



そして爆発と同時に砦が炎上して、

瞬く間に炎に包まれてしまったのだ。



…どうした!?



「何が起きたっ!?」


「陰陽師軍の攻撃ですっ!!」



…なんだとっ!?



「前線部隊の壊滅と同時に陰陽師軍が突入してきました!!」



…くっ!!



この段階で陰陽師軍の突入だと!?



伝令部隊の報告によって二つの事実を知らされてしまった。



それはつまり。


砦の正面に布陣していた陸軍が全滅したということだ。



「防衛部隊が全滅したのかっ!」



さらにもう一つ。



「砦を奪い返す為に、ついに陰陽師軍を投入してきたか!!」



弱り果てた共和国軍を一掃する為に、

ミッドガルムの陰陽師軍が突撃を開始したということになる。



それら二つの事実によって、

絶望的なまでの敗北を実感してしまった。



…もう無理だ。



この戦いは共和国軍の敗北となる。



…もはや反撃の余地はない。



「ここまでか…っ!」



こうなってしまった以上はもう、

どうあがいても防衛は不可能だ。



「南部のセルビナ王国の砦に撤退しましょう!そこまで後退できれば楠木司令官の部隊と合流できるはずです!」



撤退を進言する長野君だが、

俺としては受け入れられない提案だった。



「ダメだ。それこそ楠木博文の部隊まで全滅しかねない。俺達は最後までここでミッドガルム軍を足止めしなければならないのだ。」


「だったら!米倉元代表だけでも撤退してください!ここに残れば死は確実です!」



…だからこそだ!!



「部隊を率いる指揮官が真っ先に逃亡など出来るわけがない!多くの仲間達を見殺しにして逃げるくらいならば死んだ方がましだ!!」


「………。」



長野君の提案を否定して砦に留まる覚悟を示す。



そんな俺を見ていた長野君は、

落ち込むような表情を見せながらも静かに呟いていた。



「…死なせません。俺がいる限り、絶対に死なせません。」


「そう思ってくれるのなら、共に戦ってくれ。」



撤退はしない。


それだけは明確にした後で、

伝令部隊に指示を出すことにする。



「残存部隊を集結させろ!俺達は最後まで国境を守り抜く!!」



ここでミッドガルム軍を足止めすると決めたのだ。


ならば出来る限りの努力を続けるしかない。



「最後の一兵となるまで戦い続ける!!それが俺達の使命だ!」



1秒でも多くの時間を稼ぐ為に砦の守備を放棄する。



「部隊を砦の南部に集結させろ!!野戦においてミッドガルム軍を食い止めるぞっ!!」



陰陽師軍が動いた以上、

もはや砦を盾にする案は放棄だ。



全滅が確定した戦いを継続するのならば、

砦を捨てて広範囲魔術による殲滅を狙ったほうが効率が良い。



「一時的に砦を放棄するしか方法はない。」



行動を開始する伝令部隊を見送ってから、

長野君と共に砦から離脱することにした。



「勝つのは無理だが、数を減らす程度は出来るだろう。」



そもそも野戦では勝ち目がないから砦に布陣していたのだ。


だが敵の潜入を許してしまった今、

いつまでもここに留まる意味はない。



「ここから先は賭けになる。」



俺達が全滅するのが先か?


それともセルビナが落ちるのが先か?


あるいはミッドガルム軍に進軍不可能と判断するほどの被害を与えられるかどうか?


いずれにしても最後まで戦い続けるしかない。



「行くぞ。」



砦を捨てて最後の決戦に向かって動き出す。



「最後までお供します。」


「ああ、頼む。」



覚悟を決める長野君と共に砦から脱出することにした。




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