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THE WORLD  作者: SEASONS
4月23日
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2104/2205

最短で24時間

《サイド:米倉宗一郎》



…やはり厳しいか。



竜崎慶太が率いる反乱軍と進藤輝彦が率いる陸軍の部隊がカルナック山脈の東部においてミッドガルム軍と対立している頃。


カルナック山脈の西部でミッドガルム軍の砦を制圧していた俺の部隊はすでに全滅の危機に直面していた。



「正面の門が突破されました!!ミッドガルム軍が突撃してきますっ!!」



…ちっ!



「前線の部隊が壊滅寸前です!!至急応援をお願いしますっ!」



…くそっ!



「砦の南側にもミッドガルム軍が回り込んでいます!このままでは南門も突破されてしまいます!」



…やはり持ち堪えるのは無理かっ!!



次々と届く報告はどれも劣勢を知らせるものだった。



篭城による防衛を試みた共和国軍だったが、

守りの要とも言える砦の塀や門を突破してしまうミッドガルム軍によって防衛すらもままならない状況へと追い込まれつつあったのだ。



「やはり戦力不足はどうにもならんか!!」



20万対3万では持久戦すらままならなかった。


一方的とも言える数の力によって完全に追い詰められているのだ。



「東西の守りはどうなっている!?」


「西側は大塚義明の活躍によって、ミッドガルム軍はほぼ完全な足止めを受けています!」



…ほう。



レッドドラゴンが布陣する西側は完全に大塚義明に支配されているらしい。



「精霊が放つ灼熱の猛火によって戦場は火の海となり、国境へ続く道を遮断してくれていますので、まだ当分の間は心配不要かと思われます。」



…なるほどな。



西側を心配する必要はないらしい。



「東はどうだ?」


「東側も芹澤里沙による防衛が現在も続いています。ですがミッドガルム軍の数が西側よりも多く、全てを阻止することには失敗している模様です!防衛網を突き抜けた一部の部隊が砦の南側まで回り込んでいます!!」



…さすがに無理があるか。



今はまだ一部のようだが、

それでも数千規模の部隊が芹澤君の攻撃を逃れて砦の包囲に動いているらしい。



「芹澤啓輔と矢野百花の両名が難を逃れたミッドガルム軍に攻撃を仕掛けていますが、僅か3名で国境までの道を完全に封鎖するのは不可能です!」



…だろうな。



やはり防衛は不可能なのだ。


伝令部隊の報告を聞いて険しい表情を浮かべるしかなかった。



…もはやここまでか。



事実を知っても打つべき手立ては存在していないのだからな。



…東側に部隊を送るとしても正面の守りが手薄になるだけだ。



南側へも部隊を派遣しなければならない可能性を考慮すれば余分な戦力は動かせない。



今は大塚義明と芹澤里沙の活躍によって、

東西からの砦への潜入は辛うじて防ぐことが出来ているのだが、

それだけでもまだマシなのは間違いないだろう。



…まずは南側に回り込んだミッドガルム軍の殲滅を優先するしかないか。



そのまま迎撃部隊を東側へと回り込ませて、

東部の守りを固めるのが最善の方法だと考えた。



「待機させている部隊を南側に送り込めっ!その後、南門を死守して東側までミッドガルム軍を押し戻せっ!!」



魔力を回復させる為に休ませていた部隊を南側に送り込むしかない。


魔力に限りがある魔術師では戦闘能力としてあまり期待出来ないが、

それでも小数のミッドガルム軍を押し戻す程度は可能のはず。



「急いでミッドガルム軍を東側まで押し戻せっ!!」


「「「「「うおおおおおおおっ!!!」」」」」



指示を受けて南門へと動き出す部隊。


戦闘が可能な魔術師がミッドガルム軍の迎撃に出る。



その数は僅か1000名程度だが、

今は迎撃が成功すると信じて任せるしかない。



「前線の状況はどうだ!?」


「すでに半数が戦死しています。残る半数も時間の問題です!」



…ちっ!!



「待機部隊の戦力はどの程度残っている!?」


「数自体は1万強ですが、これまでの戦闘によって魔力に余裕のある者はほとんどいません。前線に駆け付けたとしても無駄に死者を増やすだけです。」



…くそっ!!



もはやここまでかっ!?



人数だけならそれなりに残っているのだが、

魔力がなければ軍隊と言えども一般人と何も変わらないのだ。



「ミッドガルム軍の軍勢は!?」


「およそ17万かと…。」



…まだ1割程度しか減っていないのか。



半日以上の戦闘を堪え凌いでも3万が限界だったらしい。


そこまで削るのが共和国軍の限界だった。



…残る軍勢がセルビナ王国に進めば共和国の部隊は壊滅するしかないぞ。



海軍と多国籍軍の両部隊を合わせてもミッドガルム軍には遠く及ばないはず。



…せめて由美の部隊が到着するまで堪え凌ぐしかないのだが。



明日まで耐え切れれば桜井由美の部隊が到着する可能性がある。



…各町を経由したとしても、明日の夜にはここへ到着できるはずだからな。



それまで丸一日の間はここでミッドガルム軍を足止めしなければならない。



…大塚君と芹澤君の魔力がどこまでもつか?



それだけが最後の希望だな。



精霊が存続する限り、

東西の守りは安心と言えるだろう。



だがもしも精霊が失われれば、

唯一の守りすらも失われてしまうことになる。



…耐え切れるものなのか?



絶望的な状況だ。


絶体絶命の危機が続く砦において決断を迫られてしまう。



…どうすればいい?



どうすればミッドガルム軍を押さえ込める!?



…この状況でどうすれば良い?



出来ることほとんど何もない。


残された戦力だけで立ち向かうしかないからだ。



…とにかく今は堪え続けるしかないかっ!!



最短で24時間。


その絶望的な時間をどうやって凌ぐのか?


それだけを考えながら、

ミッドガルム軍と戦い続けるしかなかった。




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