続く拷問
《サイド:澤木京一》
…この状況はいつまで続くんだろうか。
両手を破壊されたことで一時的に意識を失ってしまっていたけれど。
いまだに僕は拷問室に捕らえられている。
…まだまだ始まったばかりなんだ。
朦朧とする意識でぼんやりと考え事をしていると岡田義範が配下の兵士達に次の指示を与えていた。
「強制的に意識を取り戻させろ!」
指示を受けた兵士達がそれぞれの手にバケツを持って貯水槽から水を汲み上げる。
…そして。
身動き一つとれない僕に近づいてきた。
…これはもうあれだよね。
考えるまでもなく、
水を浴びせられるのは間違いない。
…好きにすればいいさ。
無駄な抵抗はせずに大人しく様子を見る。
そうしてバケツに汲まれた水を容赦なくびせられてしまった衝撃と冷たさによって、
無理矢理目覚めさせられてしまうことになったんだ。
「ぐぉぉ…っ!」
はっきりと意識が戻ると同時に蘇る両手の激痛。
壊れた両手が水に濡れたせいでさらに痛みが増してくる。
…くっ。
「目覚めたか?」
痛みに苦しむ僕を見ていた岡田義範が近づいてきた。
「まだまだ拷問は始まったばかりだ。意識を失って楽になろうなどという甘い考えは捨てることだな。」
…ああ、分かっているさ。
「次は足だ。二度と歩けなくなるように徹底的に破壊しろ!」
「「はっ!!」」
指示を受けて拷問を再開する兵士達は、
先程の工具を構えてから素足の僕の指先に狙いを定めてきた。
…次は足かっ。
さすがにこれはもう。
「ぐぅぅっ!!ぐぅぉぅっ!!」
我慢すれば耐えられるような苦しみではなかった。
一瞬だけ、手に比べればマシかもしれないなんて考えてしまったけれど。
とてもそうは思えなかったんだ。
「ぐうぅぅぅ…っ!!」
塞がれた口で必死に苦しみを訴えてみようとするけれど。
兵士達は一切耳を貸さずに淡々と作業を続行してしまう。
「「………。」」
無慈悲に行われる拷問。
再び『メリッ!』と、嫌な音が聞こえてきた。
…うぅぅぅぅっ!!!
『メリッ!!』
…ぐぉぉぅぅっ!!!!
『ブチィッ!!!』
…がぁぁぁぁっ!!!
次々と爪が剥がされていく。
そうして繰り返される痛みによって僕の心も破壊されようとしていた。
…もう、無理だっ。
もう我慢できないっ!
…嫌だ…っ。
止めてくれ…っ!
予想以上の激痛が僕の意志を上回ってしまうせいで心が絶望に染まっていく。
…苦しいっ!
…もう嫌だっ!!
心が叫ぶ悲鳴。
それでも必死に痛みを堪えるしかなかった。
…ダメだっ!
まだくじけるわけにはいかないんだ!
…ここで堪え続けることが、みんなの為なんだっ!
地獄としか表現できない状況だけれど。
仲間達の笑顔を思い浮かべることで、
耐える道を選び続ける。
…痛みには屈しないっ!!
僕がみんなを守るんだ!
守るべき友の顔を思い浮かべて。
心に残るシェリルの笑顔を思い浮かべることで我慢し続ける。
…まだ、負けないっ。
『頑張りなさい』と言って微笑んでくれたシェリルの笑顔を守り抜く為に命がけで拷問に堪える。
…これでいいんだ。
…これがみんなの為なんだ。
何度も何度も必死に思い込むことで、
孤独な戦いを続けることにした。




