野々村斉蔵
《サイド:和泉由香里》
…ん?
あれれ?
…また扉があるわね。
激しい音を響かせながら、
目の前の扉を全力で蹴り破る。
そうして幾つもの部屋を通り過ぎながら鈴置さんと二人で突撃した部屋の中で、
ついに目的の人物を発見したの。
「やっと見付けたわよっ!!」
駆け込んだ室内において。
威厳と風格を漂わせながら武器を構える老人と屈強な体格の海兵達を発見したの。
まあ、海軍の階位なんて私には分からないけどね。
それでも海兵達の軍服が示す勲章から察するに、
ここにいるのは海軍の幹部だと思うわ。
「海軍幹部が勢揃いってところかしら?」
「………。」
呟いた私の言葉を肯定するかのように、
最も奥で威厳を漂わせていた老人が私達に話し掛けてきたのよ。
「ここがどこかを分かったうえで馬鹿正直に正面から攻め込んで来たようだな。」
険しい表情で私達を睨みつける老人の周りでは、
まるで老人を守るかのように海兵達が動いてる。
…だとすれば、これはそういうことかな?
目の前にいる老人こそがセルビナ海軍の頂点に立つ人物ということよ。
「あなたが指揮官かしら?」
「ふむ。やはり何も知らずに来たのか。ならば教えてやろう。海軍元帥を務める野々村斉蔵だ。」
…ふ~ん。
自分から名乗ってくれた老人の言葉を聞いて、
こっそりと微笑んでしまったわ。
…この人が海軍元帥なのね。
共和国海軍を率いる米倉元代表と同格で、
共和国陸軍を率いる進藤輝彦さんとも同格ということよ。
…これは好都合ね。
軍部の頂点に立つ元帥が共和国に対して投降したとなれば、
それは海軍そのものが投降することに等しい出来事のはず。
最小限の戦闘によって勝利を目指す鈴置さんの理想を実現させる為には最も都合の良い存在と言えるわよね。
「あの老人を投降させれば、この町での戦闘は終わるかも?」
「ええ、そうですね。」
こっそりと話し掛ける私の言葉を聞いて、
鈴置さんも頷いてくれていたわ。
「この町での戦闘を終わらせる為に、まずはあの人を捕獲しましょう。」
…もちろんそのつもりよ!
今にも戦闘に発展しそうな海兵達の動きを見つめながら、
私達は静かにルーンを構えたわ。




