最短の勝利条件
《サイド:鈴置美春》
…うぅ~ん?
どうやら私達が進む通路はあまり敵がいないみたいね。
海軍とも御堂君とも違う道を進んでいた和泉さんと私は、
ひたすら上を目指して3階まで移動したわ。
「どんどん倒すわよっ!鎌鼬!!」
手加減をしながら放たれた無数の風の刃によって攻撃を受けた海兵達が次々と通路に倒れていく。
「楽勝!楽勝!!」
ルーン『グラディウス』を構えながら通路を駆け抜ける和泉さんは絶好調のようね。
あとを追い掛ける私は負傷者の手当が担当になっていたわ。
「ヒーリング!!」
通路一帯に広がる優しい光が、
傷付いた海兵達の体を少しだけ回復していく。
…本当ならちゃんと治してあげたいけど。
また戦いになると困るしね。
「今はこれでごめんなさい。」
謝罪する必要なんてないんだけど。
それでも倒れた海兵達に謝罪を続けながら和泉さんを追って走り続けることにしたの。
「ん~。律儀な子ね~。」
…そうかな?
私の行動を見て感心する和泉さんだけど。
私としてはごく普通の対応だと思ってる。
「これでも一応は医者の卵ですから。」
「ああ、なるほど。」
栗原さんほどの実力はないけどね。
それでも医師を目指している私としては傷付いた人達を放っておくことが出来なかったのよ。
「苦しんでいる人を無視することは出来ませんから。」
目の前に助けを求める人がいるのなら。
その人が私の力で救えるのなら。
救いの手を差し延べることに迷いはないわ。
それが私の考えなのよ。
「みんな、大切な何かの為に戦っているんだと思います。だからその想いには善も悪もありません。みんな大切な命です。」
たった一つしかない命を救うことこそが医者の使命だと思ってる。
だからこそ傷付き倒れた海兵達に救いの手を差し延べたいと思うのよ。
「海軍幹部の捕獲を急ぎましょう。それが最短の勝利条件ですから。」
「ふふっ。ホントに優しい子ね~。」
最小限の戦闘を望む私の考えを理解してもらえたのか、
和泉さんは楽しそうに笑っていたわ。
「それじゃあ、せっかくの好意を無駄にしない為に、私が鈴置さんの理想を叶えてあげるわね!」
…あ、あはははっ。
何だか仲良くなれたようで、
私の願いを叶える為に協力を約束してくれたのよ。




