不殺の誓い
《サイド:御堂龍馬》
…敵が多そうな場所はどこだろうか?
巨大軍船から飛び出した僕は、
たった一人で砦の地下に進攻することにした。
「投降するなら手出しはしない!大人しく道を開けるんだ!」
単独で砦を突き進む。
そんな僕に対しても、
セルビナ軍は怯えている様子だった。
「く、くそっ!!!」
武器を構えて立ちふさがる海兵達だけど、
彼等の表情は明らかに恐れを抱いているように見える。
「む、無理だ…。勝てるわけがない…っ!?」
怯え震える海兵達はすでに戦意がないらしい。
だからこそ降伏するように説得してみた。
「砦を明け渡すんだ!そうすれば誰も傷付かずに済む!」
まずは説得をしてみたんだけどね。
どうやら逃げるつもりはないらしい。
「く…ぅぅぅっ。か、勝てなくても…俺達は戦うしかないんだっ!」
「この町を守るのが、俺達の使命だからな!!」
「さ、最後まで…。戦うぞっ!」
震える体を必死に押さえ込もうとする海兵達の痛々しい姿を見ているだけで罪悪感がこみ上げてくる。
…守りたいモノがあるのはみんな同じなんだ。
僕達だけじゃない。
共和国だけでもない。
何かを守りたいと思う気持ちはセルビナも同じで、
セルビナ軍の兵士も同じなんだ。
立場こそ違うけれど。
目指しているものは同じで、
愛するモノを守るために戦う想いは誰もが同じだった。
「逃げるわけには行かないんだ…っ!」
「お、俺達がこの町を守るんだ!」
以前の海戦で嫌と言うほど僕達の力を実感している様子の海兵達だけど。
それでも逃げようとはしなかった。
「共和国軍をこの町から追い出すぞっ!!」
絶望的な戦いに挑む海兵達と対立しながら、
僕も精神的に苦しい戦いを迫られてしまう。
…このまま戦うしかないのか!?
アストリア王国との戦争やセルビナ海軍との戦いにおいて数千数万の命を奪った僕だけど。
今では殺戮を望んではいなかった。
…もう誰も死ぬ必要はないんだ。
共和国軍もセルビナ海軍も誰一人として傷付く必要はないと思ってる。
大切な人を失う悲しみと絶望なんてもう二度といらないから。
…死なせはしないっ!
僕はもう誰も殺しはしないっ!!
『不殺の誓い』を実現するために。
最小限の攻撃でセルビナ軍の制圧を目指すことにしたんだ。




