総崩れの危険性
《サイド:竜崎慶太》
「ふむ…。」
楠木さんの報告と仮説を聞いた米倉さんは、
正面に向かい合う僕にも話し掛けてきた。
「きみはどう思う?」
…うーん。
どうと聞かれても困るけれど。
楠木さんの推測そのものは間違っていないと思うかな。
「楠木さんの判断は正しいと思います。僕達の調査でもセルビナ軍と竜の牙による交戦の情報は掴んでいますので、竜の牙による襲撃によってセルビナ王国が戦争を再開したのは間違いはありません。」
その戦いによって竜の牙は大きな被害を被ったようで、
セルビナ王国も陰陽師軍に大きな被害を出していたらしいからね。
「僕達が掴んでいる情報では竜の牙の部隊とセルビナ軍は互いにかなりの被害を受けたようです。そのせいでセルビナ軍は弱体化して、あまり強くは攻め込めない状況のようですね。セルビナ軍の現状と共和国軍の戦力を考慮すれば、おそらく国境付近においてどちらも持久戦を強いられているのではないでしょうか。」
最新の状況は分からないけれど。
これまでに集めた情報と両国のおおよその戦力から現在の戦況を推測してみる。
「昨日の時点においてのセルビナ王国の戦力はおよそ4万。その内1万が陰陽師軍です。対する共和国軍の戦力は3万。数の差において劣勢な上に、これまでの戦闘や竜の牙の妨害によって戦力を大幅に低下させている可能性を考えれば…共和国軍の勝ち目は薄いと思います。」
決して勝てないとは言わないけどね。
明らかな劣勢だとは判断しているんだ。
「治療と防衛を繰り返す持久戦によって少しずつセルビナ軍を削るのが最良の作戦だとは思いますが、その分だけ疲労は蓄積する一方ですので、どこか一カ所でも崩壊すれば共和国軍の全体に影響が広がると思います。」
あくまでも可能性だけど。
一度崩れればそのまま総崩れの危険性があると警告しておく。
「早急に可能な限りの援軍を国境に送り、共和国軍が疲弊して力尽きる前にセルビナ軍を壊滅させることが急務だと思います。」
ここで共和国軍が総崩れになってセルビナ軍に侵攻を許してしまえば、
共和国軍との共闘は実現不可能になってしまうだろうからね。
セルビナ軍によって共和国が滅んでしまっては、
これまでの計画が水の泡となって消えてしまうから。
それらの危険性を考慮して米倉さんに提案することにしたんだ。




