数年ぶり
《サイド:長野淳弥》
…そろそろ7時になる頃か?
正確な時間は分からないが、
俺が走らせる馬車はようやく国境にたどり着いた。
…あとは本陣に向かうだけだな。
道なりに山道を進んで、
国境警備隊が布陣する本陣へと向かう。
そうしてたどり着いた本陣には、
事前情報通りに反乱軍が待機している様子だった。
…全員、集まっているのか?
山中ということもあって全体の確認は難しいが、
それでも分かることはある。
…姉貴と慶太と雪の波動があるな。
今は封印の影響で短距離しか感知できないが、
魔力の波動を感知した俺の視線の先に見覚えのある3人の姿があった。
…久し振りだな。
姉貴とは学園で再会していたものの。
慶太と雪に出会うのは数年ぶりになる。
…随分と大きくなったな。
かつてはまだ幼かった雪も、
今では立派に成長しているようだ。
…性格は相変わらずのようだけどな。
明るい微笑みを向けてくれるる雪の笑顔は昔と何一つ変わっていないように思える。
…だが、まあ、慶太は変わったか?
昔と比べると貫禄が表われていて、
以前よりも威厳が漂っているように感じられた。
…それだけ苦労していたんだろうな。
逃亡者としての日々だ。
その日々において竜の牙に関する情報収集と対応に追われる慶太の心労は俺にも十分に理解できる。
…俺もジェノスでは、似たような立場だったからな。
米倉宗一郎の監視から逃れながら必要な情報を集め続ける毎日だったんだ。
正体を隠して力を隠し、
極秘に暗躍していた日々を嫌というほど経験している。
…まあ、俺の場合は個人だが、慶太は組織の管理だからな。
どう考えても慶太の方が面倒なことが多かったはずだ。
そんなふうに思いながらも、
ひとまず馬車を止めてから米倉宗一郎に話しかけることにした。




