嬉し恥ずかし
《サイド:栗原薫》
…う~ん。
何だか妙に目が覚めちゃったわね。
普段よりもゆっくりと眠れていたみたいで、
今日は二度寝がしたいと思うような気分じゃなかったのよ。
…はふぅ。
特に何もすることもないまま、
気が付けば午前6時30分になったわ。
その直後に目覚めた様子の鈴置さんが静かに体を起こして、
隣のベッドに座っている私に話しかけてくれたのよ。
「おはようございます。」
「あ、うん。おはよ~。」
元気良く笑顔で挨拶を返してみる。
だけど鈴置さんはまだまだ眠そうね。
「………。」
軽く目をこすりながら
小さな欠伸をしていたのよ。
そんな鈴置さんの仕種を可愛らしく思いながら、
反対側のベッドで眠っている成美にも視線を向けてみる。
…うんうん。
今日も可愛いわね~。
すやすやと眠る成美の寝顔はいつまでもいつまでも眺めていたいと思うわ。
だけど鈴置さんが目覚めたのがきっかけになったのかな?
成美も眠りから目覚めたみたい。
「…ぁぅ…?」
ゆっくりと起き上がった成美は、
ぼけ~っと辺りを見回してから私を見つけて幸せそうに微笑んでた。
「…薫…ぅ…♪」
甘えた声で名前を呼んでくれるんだけど。
見た感じは完全に寝ぼけているわね。
「…薫…ぅ…。」
私の名前を呼ぶ声はかすれていて、
今にも2度寝しそうな雰囲気だったのよ。
…う~ん。
これはこれで超絶可愛いとは思うけどね~。
だけど幸せ過ぎて怖いから、
さくっと起こそうかな?
幸せ一杯に微笑みながら寝ぼけ続ける成美の様子は私の心をわしづかみにして心の底から癒しを感じさせてくれるんだけどね。
すでに活動してる鈴置さんや御堂君の視線が気になるから、
渋々だけど成美を揺さぶり起こすことにしたのよ。
「ほら!成美!起きて!」
両肩を手で揺さぶって寝ぼけている成美を起こそうとしてみる。
…だけど。
「…うにゅ~…♪」
寝ぼけたままの成美は目の前にいる私に全力で抱き着いて
私の胸に何度も顔を擦り寄せてきたのよ。
「…温かいよ…ぅ♪」
…ぅぁぁ。
これはちょっとっ!?
恥ずかしい上に照れ臭かったわ。
成美が甘えてくれることには幸せを感じるけれど。
鈴置さんと御堂君の視線があるから恥ずかしすぎる状況だったのよ。
「ちょ、ちょっとっ!」
顔を真っ赤にしながらあわてふためく。
寝ぼけたままの成美は、
周りを気にせずに私の胸に擦り寄り続けてる。
…嬉しいけど、恥ずかしいっ!!
複雑な心境で戸惑ってしまうわね。
それでも止まらない成美の行動に慌てふためいていると、
鈴置さんが苦笑いを浮かべながらゆっくりと歩み寄ってきてくれたのよ。
「ふふっ。仲が良いわね~。」
…あぅ。
この状況で言われると余計に恥ずかしくなってくるんだけど。
寝ぼけ続ける成美に微笑みを向けた鈴置さんは、
私を助けるために成美に呼び掛けてくれたのよ。
「おはよう、成美ちゃん。」
「…ぅ?」
軽く頭を撫でながら呼び掛ける鈴置さんの挨拶のおかげで、
ようやく成美は意識を取り戻したようね。




