希望の詳細
《サイド:長野淳弥》
竜の牙の現状と反乱軍のいきさつ。
それらを話し終えたあとで、
米倉宗一郎は質問を続けてきた。
「最後にもう一つだけ聞かせてほしいことがある。」
「何でしょうか?」
「死の間際において天城総魔が遺したという5つの希望に関して、きみはどこまで知っているのだ?」
…希望の詳細か。
ここで全てを話してしまうことも出来るが、
姉貴から口止めを受けているからな。
これだけは例え殺されても話すわけにはいかない。
「天城総魔に関しては姉貴から聞いた話でしか知りませんが、おそらく全てを知っていると思います。隠された真実も託された想いの意味も全て知っているつもりです。」
姉貴から直接聞かされた真実と受け取った書類によって一通りの情報は把握しているからだ。
もちろん書類はすでに処分済みだが、
書類にははっきりと記されていた。
全ての真相と、
これから起こりうる可能性に関しても記されていたんだ。
…だからこそ、言えないんだけどな。
「その質問に関してだけは答えられません。おそらく竜崎慶太に問い掛けても、姉貴に問い掛けても答えは同じだと思います。」
「答えられない理由でもあるのか?」
「ええ。今はまだ、その時ではありませんから。」
今はまだ話せないと強調して質問を棄却した。
「希望の意味に関しては何も言えません。ですが、いずれ分かるはずです。」
「…いずれ、か。」
「はい。希望はすでに動き出しています。そしてそれぞれに歩む結末が共和国の未来に繋がる。ただそれだけのことです。」
天城総魔に関する説明は意図的に打ち切った。
そしてそのまま馬車を走らせることにしたんだ。




