もしも
《サイド:竜崎慶太》
ひとまず。
近藤君を仲間に引き入れることが出来た。
これで5人の希望の一人を確保したことになる。
…とは言え、残り4人か。
まだまだ先は長いな。
そもそも全員を味方に引き込まなければならないという理由はないから無理に保護する必要はないけどね。
無事に戦争を乗り切ってさえくれればそれでいいんだ。
だから無理に集める必要はないと思いながら今度の方針を考えていると、
陸軍を率いる新堂輝彦が歩み寄ってきた。
「…ふむ。久しいな、竜崎。大方の事情は北条辰雄に聞いたが、まさかこんな所でお前に合うとは夢にも思ってみなかった。」
険しい表情で話し掛けてくる新堂さんに、
そっと頭を下げる。
「お久しぶりです。」
丁寧に一礼してから向き合うことにしたんだ。
「お元気そうでなによりです。」
出来る限り穏便に話し合えるように挨拶をしてみたんだけどね。
「………。」
新堂さんはきつい眼差しで僕を睨みつけている。
「俺は北条や楠木のようにお前を認めるつもりは一切ない。お前達の犯した罪によって何万もの仲間が犠牲になっているのだからな。その確固たる事実がある限り、俺がお前達を認めることなど出来はしない。」
陸軍の頂点に立つ者として退くことの出来ない想い。
数え切れないほど多くの配下を失った悲しみを心に抱えながら、
新堂さんは僕に警告してきたんだ。
「米倉と交渉をしたいと言うのであれば今は手出しをしない。だがもしも交渉が決裂した場合は、この場に集まる全ての総力をもってお前達を殲滅する。それだけは覚えておけ…。」
…ええ、そうですね。
厳しい言葉で告げる新堂さんの想いを大人しく受け入れようと思う。
「心得ています。僕達が犯した過去の罪は決して消えることはありませんから。」
何を言われても、
どんな扱いを受けたとしても仕方がないと思っているんだ。
「ですが、僕達には竜の牙を滅ぼすという目的があります。それまで死ぬことは出来ません。だからもしも共和国が僕達を受け入れないのだとしたら、その時は僕達も全力で抵抗します。例えどれほどの罪を重ねるとしても…例え全てを敵に回してでも。」
最期まで戦い続ける意志を示してから、
僕も警告することにした。
「…僕達と争うつもりであれば、僕達も全力で立ち向かいます。」
一歩も退かずにはっきりと宣言する。
「竜の牙を倒すまでは死ぬわけにはいかないのです。」
例え共和国との共闘に失敗したとしても、
目指すべき想いは決して変わらないからね。
「今はただ…交渉が成立することを祈っています。」
「………。」
堂々と告げる僕に、
新堂さんは険しい表情を向け続けていた。




