その日がきた時に
《サイド:ウィッチクイーン》
「ねえ、直貴…。」
「………。」
何も言わずに背中を向ける直貴に、
私も問い掛けてみることにしたわ。
「ねえ、直貴。もしも私が戦いを諦めずに竜の牙と戦うとしたら、その時にあなたはどうするの?」
「………。」
私の問い掛けにも黙する直貴だけど。
それでも私は問い続けたわ。
「私は諦めないわ。竜の牙を滅ぼすまで、その日が来るまで戦い続けるつもりよ。この意志は何があっても変わらない。だから今ここであなたを見逃してもいずれ私達は対立することになるわよね?だからその時に…その日がきた時に、あなたはどうするの?」
「…その日、か。」
次に出会う時にどうするのか?という問い掛けに対して、
直貴はようやく口を開いてくれたのよ。
「もしもその日が来るとしたら…もしもお前達が竜の牙と戦う日が来るとしたら、その前に俺はお前達の力を確かめることになるだろう。」
…力を確かめる?
「それは私達が竜の牙に勝てるかどうかって言うこと?」
「ああ、そうだ。そしてもしもお前達に竜の牙を倒せるほどの力があるのなら、俺もお前達に協力しよう。」
「もちろんそれは直也と共に…という意味で良いのよね?」
「ああ、そうなるな。だがもしもお前達の力そこまで及ばないようなら、その時は俺がお前達を食い止めるだろう。俺の命と引き換えにしてでもお前達を食い止めてみせる。それが俺の役目だからな。」
私と慶太を守る為に。
例え勝てないとしても対立するという意志を示しているのよ。
「…もっとも、その時にまだ俺が生きていればの話だがな。」
…ん?
生きていれば?
「それは私達が殺さなければ…という意味かしら?」
「いや、もっと根本的な問題だ。」
…根本的?
「元成様が死んだ今となっては、竜の牙に戻っても長野一族の居場所などどこにもありはしないからな。」
………。
ああ、そういうことね。
直貴の言葉の意味は何となくだけど理解出来る気がしたわ。
すでに竜崎と竜谷の血を引く者は離反していて、
現在は竜道寺一族に支配されている竜の牙に長野の立場なんて存在しないからよ。
むしろ竜谷元成を守れなかった罪を問われて処分を受けるのは目に見えているわ。
だから生きてここを離脱出来ても、
生き延びられる可能性は限りなく低いということ。
その可能性に気付いているからこそ、
長野兄弟は死を受け入れる覚悟で私達の前に立っているんでしょうね。
「俺が敵になるか味方になるかは、お前達次第だ。」
すでに死を覚悟している直貴は会話を打ち切ってしまったのよ。
「あとはお前達の好きにしろ。」
再び黙り込んでしまったの。
戦闘を放棄して背中を向ける直貴を見て、
慶太もどうするべきか悩んでいる様子だったわ。




