覇王
「………。」
…くっ!
何も語らずに静かに見つめる直貴にルーンを向けることしか出来なかった。
「教えるんだ、直貴!きみが知る真実をっ!!」
力強く握り締めるルーンの名は神剣『ゾディアーク』
特性は『覇王』
あらゆるモノを支配し。
あらゆるモノを服従させ。
あらゆるモノを制する力だ。
それは『支配』を越えた『制覇』になる。
僕の手で煌めく金色の剣は見る者全てに恐怖を与えるほどの力があり。
全てを従える支配力があるんだ。
大きさはロングソード程度の一般的な形ではあるけれど。
竜の刻印の施された神剣からは凍えるような威圧感が放たれている。
「…直貴。」
金色の剣を構えて狙いを定める。
何も話さない直貴に狙いを定めて、
力ずくで話を聞き出すことにしたんだ。
「直貴っ!きみから真実を聞き出してみせるっ!!」
一直線に走り出す。
その瞬間に。
進行方向に立ち塞がっていた竜の牙達が即座に道を開いて後退していった。
…どういうことだ!?
何故、向かって来ない!?
僕が率いる反乱軍を含め、
共和国軍の国境警備隊には全力で抵抗を示す竜の牙だけど。
何故か僕にだけは襲い掛かって来なかった。
…僕に怯えているわけではないはずだ。
いくら実力に差があるとしても、
それだけの理由で戦闘を避ける理由にはならないと思う。
…何故、僕には襲い掛かって来ないんだ!?
疑問を感じる間にも直貴との距離は狭まっていく。
「直貴っ!!」
あと数メートルその距離まで迫った直後に、
直貴はまっすぐに僕を見つめたままで囁くように呟いた。
「俺を殺して気が済むのならば殺せばいい。だが、俺達はお前を殺さない。だから…お前の自由にしろ。」
「なっ!?」
戦いを放棄して自らの身を差し出した直貴の行動を見た僕は、
攻撃をためらって動きを止めてしまった。
「どういうつもりだっ!!」
「………。」
何度問いかけてみても直貴は何も答えない。
戸惑う僕を見つめながら、
じっと観察しているだけだった。
「何故、戦わないんだ!?」
疑問を募らせる僕に、
突出していた紗耶香達が戻ってきてくれたようだ。
「慶太!」
「お兄ちゃん!!」
「…どうやらこちらも立て込んでいる様子だな。」
駆け寄ってくる紗耶香と雪を護衛するかのように北条さんも合流してくれたんだ。




