長野直也
《サイド:ウィッチクイーン》
突如として国境に現れた父を発見したことで全力で駆け寄ったのよ。
その間に逃げる様子も抵抗する様子も見せなかった父だけれど。
「待て!紗耶香っ!止めるんだっ!!」
私達の間に一人の人物が立ちはだかったの。
…父さんと一緒に行動しているのね。
必死の想いで呼び掛けてきた人物は知り合いだったわ。
ある意味では同族とも言える関係だけど。
今更、敵の言葉に従う必要なんてないわよね?
「テラ・フレア!!!!」
全力で生み出した炎を放つ。
「消えなさいっ!!!」
邪魔な人物を退けるために攻撃を仕掛けてみたけれど。
「まだだっ!」
距離があったせいでしょうね。
父を庇いながら回避されてしまったのよ。
だけど私には敵わないって分かっているはず。
「くそっ!僕の力では…っ!」
お互いの実力差を知っているせいで、
何も出来ずに動きを止めてしまっていたわ。
「どうすれば…っ!?」
「…お前は下がっていろ直也。お前では紗耶香には勝てん。」
直也の代わりに、
今度は父が歩み出てきたのよ。
「ですが…っ!!」
「良いのだ。これが俺の宿命なのだろう。他の誰でもなく娘の手によって終わりを迎えるのならば悔いはない。」
「元成様…っ。」
「逃げろ直也。お前と直貴だけでも生き残れ。生きて我等の想いを受け継ぐのだ。」
「元成様っ!!」
「行け直也!ここから逃げ切れっ!」
「く…っ!」
父を守れない状況に直面したことで、
長野直也は私に向かって走り出したのよ。
「待て!直也ぁぁぁ!!!」
「すみません元成様っ!!ですが僕には出来ませんっ!!元成様を置いて逃げるくらいならば僕は死を選びますっ!!」
「く…っ!直也ーーーっ!!!!」
必死に呼び止める父だけど。
すでに私の魔術は完成しているの。




