けじめ
「お前も甘い男だな、楠木。だがお前のそういう所が俺は好きだがな!はっはっはっは!!」
…ふっ。
それはお互い様だろう。
盛大に笑い出す北条の笑顔を見ていると、
俺も自然と微笑みを浮かべてしまった。
「残念だが、お前ほどではない。俺は仕事に私情を挟むつもりはないからな。」
「ふはははっ!そうか?まあ、良いだろう。今はそういうことにしておこうか。」
俺の判断を盛大に笑い飛ばした北条は、
大人しく俺の指示を受け入れてくれるようだ。
「監視の役目を受け入れよう。だが一つだけ俺からも頼みがあるのだが…。」
…北条の頼みか。
それぐらいならわざわざ聞かなくても理解しているつもりだ。
「任せておけ。セルビナ方面への連絡はつけておく。必要ならば出来る限りの戦力も送れるように手筈を整えておこう。セルビナは気にせずに安心して俺に任せておけ。」
「すまないな。恩に着る」
「はははっ。気にするな。」
お前の頼みを断るつもりはない。
「北条、お前はお前の役目を果たせ。それが戦場で散った息子へのけじめだ。」
「…ああ、そうだな。馬鹿息子の為にも戦争を終わらせよう。それが俺の役目だ。」
アストリア王国において生涯を終えた息子の想いを受け継ぐ北条は戦争の終結に向けて動き出そうとしていた。
「共和国は守り抜く。それが俺の誇りであり、馬鹿息子へのけじめだからな。」
…ああ、それでいい。
「お前の計らいに感謝する。」
話を終えた北条が俺に背中を向けて歩き出す。
「あとは頼む。」
…ああ、任せておけ。
立ち去る北条の背中を見送る。
そうしてしばらく眺めていると、
これまで様子を見ていた竜崎が再び話しかけてきた。




