表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1834/1848

親父の真意

《サイド:長野淳弥》



…親父との戦いか。



実の父である竜谷元成との戦いにおいて、

俺はどうするべきかを悩んでいた。



…まさかこんなところで遭遇するとはな。



想定外の出来事だが、

親父を殺すこと自体に異論はない。



俺も反乱軍の一人として、

その必要性は理解しているつもりだからな。



…だが、それでも、な。



自分の手で親父を殺せるかどうかと問われれば出来ると答えられる自信はなかった。



例えどういう事情があるにしても親は親だ。


実の父親に殺意を抱くほど歪んだ感情は持ち合わせていない…と思っている。



それに…俺はかつての反乱に参加してなかったからな。


仲間から聞いた話だけでしか事実を知らなかった。



結果を聞かせてくれた姉貴の話によると、

おふくろは親父に殺害されたらしい。



その事実さえも俺は全てが終わってから知らされたんだ。



…確かに親父は憎いと思う。



だがそれでもだ。


殺してやりたいと思うことは出来なかった。



…ただの裏切りではないはずだからな。



何らかの事情があったと思っている。


そしてそう思う理由もある。



…何故なら。



親父は俺がジェノスにいることを知りながらも、

一度も手を出そうとしなかったからだ。



その理由は分からないが、

元々、俺は竜の牙の指示によってジェノスに潜り込んでいた。


当初の指示は米倉宗一郎から秘宝の在りかを探り出すことが目的だった。



今は反乱軍に所属しているから秘宝の探索ではなく、

米倉宗一郎の護衛としてジェノスで行動しているんだが。


それでも竜の牙は俺の居所を把握していたはずだ。



立場が分かってしまったために目的そのものも大きく変わってしまったとは言え、

それでも俺は竜の牙が内部分裂を起こす以前からジェノスで活動していたからな。



だから竜の牙と反乱軍の戦いに参加出来なかったんだが、

だからこそ俺の居場所はどちらの組織にも筒抜けになっている。



…それなのに。



俺には竜の牙の報復がなかった。



そして遠く離れたミッドガルムの地で竜の牙と反乱軍が内部争いをしているという話は戦闘後に聞かされた。



…全てが終わった後に、だ。



竜の牙と反乱軍の両方から事実を聞かされた時に、

俺は人生の選択を迫られた。



竜の牙につくのか?


それとも反乱軍につくのか?



二者択一の選択を迫られた時に、

俺は姉である長野紗耶香についていくことを選んだ。



その時点で俺は竜の牙の敵となり、

本来なら命を狙われる立場になるはずだった。



…それなのに。



何故か俺は見逃された。



あるいは泳がされたと言うべきかもしれないが、

所在が判明している俺に対して竜の牙が襲い掛かってくることは一度もなかったんだ。



…さすがにこれは親父が手を回したとしか考えられない。



竜の牙を裏切った俺が狙われずに済んだのは親父が助けてくれたからのはず。



他に考えられる可能性がない。



竜の牙にとって邪魔な存在でしかない反乱軍に所属する俺を見逃す理由なんてどこにもないからな。



さっさと俺を捕らえて反乱軍の情報を聞き出すのが最善策のはずだ。



それなのに竜の牙は何もしなかった。



俺がジェノスにいることを知りながらも一切の手出しをしなかったんだ。



…だから親父を憎みきれずにいる。



親父にも戦う理由があるかもしれないからだ。


俺達にも話さない本当の理由があるのかもしれない。



…とは言え。



今でも親父の意図は不明なんだが、

俺は竜の牙に襲われることなく生きることが出来ていた。



…一度で良いから、親父と話がしたいな。



本当に親父は竜崎一族を裏切ったのか?


もしそうでないとしたら、

どういう理由で竜の牙を乗っ取ったのか?



そして…何故おふくろを殺したのか?



それらの真実を知りたいとは考えていた。



…俺は自分の目で確認したことしか信じない。



周りから聞かされた情報だけで、

親父を判断しようとは思わなかった。



だからこそ真実を見極める為に。


そして親父の真意を確かめる為に。


国境に急ぐつもりでいた。



父である竜谷元成を追うために、

国境に向かって全速力で馬車を走らせたんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ