僕ならきっと
《サイド:御堂龍馬》
「行ってらっしゃい。」
閉じられた扉が閉まるのを見届けてから小さく返事をした。
…これで4人だ。
少しずつ部屋が賑やかになっていくことを楽しく感じてしまう。
…由香里達もここに来れば、更に賑やかになるだろうね。
だけど残念なことに特風の仲間達は僕との試合に敗北したあとで医務室に運び込まれてしまったから今も医務室で眠りについているはずだ。
すでに怪我の治療そのものは終わってるみたいだけど。
それでもまだ精神的な疲労が蓄積しているなかな。
一晩は安静にしたほうがいいという医師の指示によって現在も医務室に引き止められている。
「みんなは明日からここに来るのかな?」
そうなれば、さらににぎやかになると思う。
「僕はまだ一人じゃないんだ。」
沢山の仲間がいると思うだけで心が幸せで満たされていく。
…今度は失わない。
必ず、みんなと生き抜くんだ。
仲間達と共に過ごす未来を願いながら、
理想の世界を思い描いてみる。
「誰も悲しまない世界。それが僕達の願いだ。そうだろう?…総魔。」
亡き親友に問い掛けてみた。
そんな僕の問い掛けに答えはなくても、
それでも心の中で問い続けたんだ。
「総魔。もしもきみが生きていたら…きみはどんな世界を創造するのかな?そしてきみならどんな結末を願うのかな?」
総魔の答えを想像しながら僕自身の理想を思い描いてみる。
「僕なら…そう。僕ならきっと…」
小さな声で呟きながら幸せな結末を想像してみる。
誰もが笑ってくらせる世界を。
誰もが幸せに暮らせる日々を。
誰もが夢と希望を抱く未来を。
そして。
誰もが愛する人と過ごせる大切な一時を願ったんだ。
…信じる限り願いは叶う。
この世界に不可能なんて何もない。
諦めない限り必ず願いは叶うんだ。
「そうだろう、総魔?それを…そのことをきみが教えてくれたんだからね。」
だから僕はくじけない。
最後まで絶対に諦めない。
想いを貫くということの意味を示した総魔の想いを受け継いで戦い続ける。
「翔子の残した愛がきみを動かしたように…。僕も沙織の想いを受け継いで戦い続けるよ。」
沙織が守りたかった成美ちゃんを守り。
一日でも多くの幸せな日々を過ごしてもらう。
「それが僕の想う愛なんだ。」
…沙織。
上手く言葉に出来ないけれど。
それでも沙織に願いたいと思う。
…何も出来なかった僕を許してほしい。
きみ君を守れなかった僕を許してほしい。
…僕にはもう何も残っていないけれど。
だけどきみが残した想いだけは無駄にはしたくないから。
…きみ君が望んだ未来だけは僕が守り抜いて見せるよ。
きみが愛した成美ちゃんだけは僕が守り抜いて見せる。
…だから。
だから僕を信じていてほしい。
ただそれだけを願うんだ。
…次は間違えない。
僕は成美ちゃんを手放さない。
今度は最後まで成美ちゃんを守り抜く。
…もう二度と。
もう二度と別れは選ばないっ!!
最後まで同じ道を歩むこと。
その想いを誓いに変えて沙織に願い続ける。
「もう二度と手放さない。僕のこの手で成美ちゃんを守り抜く!だから沙織。僕を信じてほしい。もう一度だけ僕を信じてほしいんだ。」
繰り返す言葉に想いを込めて何度も何度も願う。
「もう一度…僕を信じてくれないかな。」
叶えられなかった願いを叶える為に。
守りたかった想いを守り抜く為に。
あらゆる感情を込めて沙織の姿を思い描く。
「愛しているよ沙織。この想いは…この想いだけは永遠に変わらない。」
伝えることの出来なかったこの想いを心の中に大切にしまいながら。
今はただ静かに…3人の帰りを待つことにしたんだ。




