自分の不器用さ
《サイド:文塚乃絵瑠》
午後5時過ぎ。
…う~ん。
なかなか上手くいかないわね~。
自分自身が情けなくて、
何度も何度も唸り声をあげてしまったわ。
…どうすればいいの?
魔術師ギルドの地下で訓練を続けているんだけどね。
これがなかなか思うように進まないのよ。
そのせいで落ち込んでしまうというか、
自分の不器用さに悩んでしまったことで、
美咲さんが優しく微笑んでくれていたの。
「焦らなくても大丈夫よ。初日から上手くいくなんて思ってないし。誰だって最初は失敗を繰り返しながら、少しずつ成長していくものなのよ。」
…まあ、ね~。
…それはそうなんだけど。
これだけ失敗が続くと心が折れそうになるのよ。
「ふふっ。まあまあ、今日はここまでにしておきましょう。」
…あぅぅ。
どうやら時間切れみたい。
「…すみません。」
「いいの、いいの。あまり無理をしても良い結果なんて出せないわ。それに休むべき時はしっかりと休んで、次に備えるのも大事なことよ♪」
…う~ん。
まあ、確かに?
美咲さんの言い分は正しいと思うわ。
言葉と態度は一致しないけどね。
それでも発言の一つ一つは的確な意見に思えるのよ。
「それじゃあ、夕食を食べて明日の為に休みましょう♪それが乃絵瑠ちゃんのためよっ♪」
…えっと。
本当に私のため、なのかな?
私の手をとって歩き出した美咲さんは、
優しさ一杯の笑顔でここから私を連れ出そうとしているわ。
「そろそろお腹が空いてきたでしょう?」
「え?あ、あ~、まあ。それなりには…」
「ふふっ。沢山、食べさせてあげるからね♪」
…い、いえ。
ほどほどで良いんですけど?
「楽しみね~♪」
私の意見なんて一切聞いてくれない美咲さんに振り回されるまま、
今日も地下の訓練場を出ることになってしまったのよ。




