呪い
《サイド:米倉宗一郎》
「慶一郎ーーーーっ!!」
…くそぉぉぉ!!!!!
力尽きて倒れた慶一郎を眺めながら悔しさを感じて唇を噛み締める。
そして拳を強く握り締めて、
怒りに震えながら必死にルーンを構えた。
…お前が遺した想いだけは決して無駄にはしないっ!!
慶一郎が放った最期の魔術が何を起こすのか?
その答えを俺は知っている。
今回の魔術に関する話は聞いたことがあるからだ。
…完成していたのだな。
お前が求めていた最強の力。
竜の牙に終焉を迎えさせる禁術が!!
慶一郎の魔術の真意を俺は知っている。
…お前の想いが竜谷元成を死へと導くのだ!
そしてお前の魂が竜谷元成に終焉を迎えさせるのだっ!!
慶一郎が遺した力を無駄にしないためには戦い続けるしかない。
「慶一郎の想いが…お前に死をもたらすのだ!!竜谷元成!!お前をここで殺すっ!!」
『ランス・オブ・カイン』を強く握り締めて動き出す。
「もはや貴様など恐れるに足りんっ!!ここが貴様の墓場となるのだっ!!」
限られた体力で竜谷元成に駆ける。
その間に竜谷元成は防御結界を発動させようとしている様子だったが。
「な、に…っ!?」
防御結界が発動しなかったことで、
竜谷元成は無抵抗のまま俺の槍に貫かれていた。
「ぐぅっ!!がはっ!!!」
口から血を吐き。
槍によって貫かれた腹部からも出血させる竜谷元成が地面に片膝をつく。
「な、何故だ…っ!?」
「…何故、か。」
魔術が発動しないという事実に戸惑う竜谷元成に冷酷に告げる。
「慶一郎が発動した魔術は成功していた。あの魔術は攻撃用ではない。あれは対象の魔術を破壊する一種の解呪魔術だからだ。」
「解呪だと…っ!?」
「ああ、そうだ。お前の身に深く刻まれた十字架の力によって、お前の魔力は分断された。今のお前に魔力を使う能力はなく、魔術を発動させる力が存在していないのだ。」
慶一郎が遺した力。
それは一種の呪いとも言えるだろう。
対象の魔力を破壊して、
魔術を使えなくする為の魔術だからだ。
慶一郎は自らの命を引き換えにして、
竜谷元成の魔術を封印したのだ。
「いくらお前と言えども、魔術を失えば雑魚も同然。ここがお前の死に場所だ。」
冷たい視線を向けながら、
この手の槍を深く深く押し込んでいく。
『ズブッ…ズブッ…』と、
肉を裂きながら差し込む槍。
ランス・オブ・カインに貫かれた竜谷元成は、
自らの招いた事態に激しい怒りさえ感じている様子だった。
「くそっ!この俺がこんなところで死ぬだと…っ!?そんなことは断じて認めんっ!!」
必死の抵抗として回復魔術を展開しようとする竜谷元成だが、
当然、その魔術さえも発動しない。
「く、そ…っ!!」
明らかな致命傷を受けて消えかかる意識。
魔術も発動できず、
動くだけの体力も残っていないだろう。
「おのれ…っ!」
憎しみを込めて俺を睨みつける竜谷元成だがすでに手遅れだ。
「ここでお前は死ぬ。慶一郎が遺した想いによって…お前はここで朽ちるのだ。」
「…くっ。」
俺の宣告を聞きながら、
竜谷元成は地面に倒れ込んだ。
…これで終わりだ。
意識を失った竜谷元成に止めをさすために一時的に槍を引き抜く。
その瞬間に。
…ちっ!
幾つもの魔術が頭上から降り注いできた。




