セーブ・ザ・クイーン
「何者かは知らないが、俺の里沙に手出しはさせんっ!!」
僅か十数メートルの距離にまで迫り来る竜の牙に対して芹澤啓輔がルーンを構えた。
…って、マジかっ!?
これまでにも何度も暴走する場面があったが、
今までルーンが使われることは一度もなかったはずだ。
…試合以外で初めて見たぞ!
ルーンが発動されている。
それはつまり手加減の意思がないという証だ。
「この剣の名に賭けて!里沙には指一本触れさせんっ!!」
自信を持って振りかざされたのは、
非の打ちどころのない聖剣だ。
歪んだ愛さえも純真に、
そして狂おしいほど一途に想う信念が生み出した心の象徴。
聖剣の名は『セーブ・ザ・クイーン』
愛する者を守り抜く想いを込めた騎士剣だ。
ただ一心に里沙だけを想い、
里沙の為だけに振るわれる力の象徴。
守護の名を関する聖剣を構えた芹澤啓輔が竜の牙に立ち向かってくれた。
「里沙は俺だけのモノだ!お前達が触れられるほど低俗な存在ではないっ!!」
芹澤啓輔にとっては女神にも等しい存在であり、
世界中の何処を探しても決して越えることのない絶対的な存在らしい。
芹澤里沙という名の地上の女神。
唯一無二の存在を守り抜く為に竜の牙に襲い掛かる。
「この想いは全てを貫く神威の一撃!!インパルス!!!」
…って、マジで手加減抜きか!!
聖剣から放たれる一筋の光。
光の刃ともいえる斬撃が迫り来る竜の牙の魔術師達の体を一直線に貫いていった。
「ぐがああああっ!!」
「…くそっ!!こんな所で!?」
「ぐぁぁぁぁっ!!!!!」
光に貫かれて地面に倒れ込む竜の牙達だったが、
それはまだごく一部でしかない。
まだまだ50人の全滅にはほど遠いからだ。
「ガキ共も皆殺しにしろーっ!!」
怒りを込めて叫ぶ竜の牙だが、
芹澤啓輔の態度は変わらない。
「…ふん。死ぬのは貴様らだ!」
勢いを止めることなく走り続ける竜の牙の一団を単独で迎え討とうとしていた。




