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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1786/1864

お土産

「まあまあ、細かいことは置いておくとしてだ。」



…はあ!?


…全然、細かくないわよねっ!?



全力で文句を言ってやりたかったけれど。


その前に鞄に手を伸ばした亮平が、

中にしまっていた何かを差し出してきたのよ。



「とりあえず土産を買ってきたから持って行け。」



…お土産?



亮平が?


私に?



「何よこれ?」



小さな箱を渡されたんだけど。


中身が何かは見た目では分からないわ。



「お前が来るなら、いるだろうと思って買ってきたんだ。」



…私が来るなら?



余計に意味が分からないわね。



「中を見て良いの?」


「ああ、構わない。」



…ん〜?



よく分からないけど。


とりあえず箱を開けて中を確認してみることにしたの。



そして、すぐに気づいたのよ。


亮平がくれた物は以前イーファに来た時に欲しいと思っていた小さな指輪だったから。



「これが欲しかったんだろ?」


「覚えていてくれたの?」


「まあ、な。」



気楽に答えてから、亮平が近づいてくる。


小さな指輪に視線を向けたままの私に歩みよって、

無断で私の左手をとったのよ。


そして左手の人差し指に小さな指輪をはめてくれたの。



「おー、ピッタリだな。」



…どうして指輪の大きさが分かるのよ?



楽しそうに笑う亮平の笑顔を眺めながら疑問を感じる瞬間だったわ。



「どうやって調べたのよ?」


「ん?ああ、それはあれだ。勘ってやつだ。」



…うっわぁ。



嘘くさいわね。



「どうせあれでしょ?絵里香にでも聞いたんでしょ?」


「ははははっ。やっぱりバレるか。」



…でしょうね。



亮平に分かるはずがないわ。



「でも、まあ、ありがとう。」



方法はともかくとして、

ちゃんと覚えていたうえで用意してくれたことには感謝しようとは思えるからよ。



…だから、っていうわけじゃないけれど。



さっきまでの怒りはいつの間にか消えていたわ。



怒りも憎しみも忘れて、

受けとった指輪に視線を向けてみる。



決して高価な物ではないけれど。


それでも理由があって欲しいと思っていた物だったのよ。



…そっか。



これを買いに行ってたのね。



亮平が遅刻した理由が理解出来た気がしたわ。



…さすがにキスは問題だけど。


…まあ、亮平だから良いかな?



知らない仲じゃないしね。


むしろ尊敬とか憧れとか、

そういった感情はあるわ。



他の男性では無理だけど。


亮平だから許せると思える程度には心を許しているのよ。



「…ったく。こういうことなら仕方ないけど。それでも遅刻しないように気を付けなさいよね?」


「ははっ。まあ、そうだな。」



ブツブツと不満を言葉にする私を、

亮平は楽しそうに見守ってくれてる。



そんなふうに気楽な態度で返事をしてしまえる亮平を見ていたらね。


なんだか照れ臭くなってきたわ。



「ありがと。覚えててくれたのは素直に嬉しいわ。…だけどキスは許さないわよ!次にまたこんなことをしたら、今度は本気で殺すから!」


「おお、それは怖いな。気を付けよう。」



わりと本気で睨み付けてみたんだけど。


それでも亮平は気にした様子もないまま、

私の頭に手を置いて再び髪をくしゃくしゃにしてくれたのよ。




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