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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1785/1879

亮平の特性

…なのにっ!



私が発動した魔術は、

発動直後にあっさりと消失してしまったの。



…くっ!!


…亮〜〜〜平~~~っ!!!



「な!?どうしてっ!?」



私の魔術に対する恐怖から一転して、

京一達は驚愕の表情を浮かべていたわ。



「魔術が消えた…っ!?」



一度発動すれば決して止まらない魔術が、

何事もなかったかのようにあっさりと消え去ったことで戸惑っているのよ。



…京一達は何も知らないから仕方がないけど。



私としてはね。


絶望でため息を吐きたくなる状況だったの。



亮平に抱きしめられて唇を奪われたままで逃げられないことに気付いてしまったから。



…くぅっ!


…亮~平~っ!



こんなの卑怯よっ!!



両腕を回してしっかりと抱きしめてくる亮平からは逃げられないわ。


もちろん魔術が消えた理由は、

それが亮平の能力だからよ。



私の奥の手さえもあっさりと消し去る能力が亮平にはあるの。



…せめて両手が使えればっ。



両手で魔術が発動できれば亮平をぶっとばせるのに。


それが分かっているからこそ、

亮平も私の左手を封じているのよ。


抱きしめるふりをして、

私の左手を掴んでいるの。


かろうじて動く右手でカードを操作してみても、

単なる『連続攻撃』では亮平には一切通じない。



強引に口と手を塞いでくるなんて、

どう考えても犯罪でしょっ!!



文句の一つも言ってやりたいけれど。


今はそれさえも出来ないのよ。



亮平の特性は『窃盗』



あらゆる魔術を盗み取ることが出来る能力。


だけどこれは吸収とは意味が違うわ。



亮平の能力には幾つもの制限があるからよ。



一つ目は自らの能力を超える魔術は奪えないということ。


亮平自身の能力を上回る魔術には対処できないの。



そして二つ目はあくまでも魔術を奪えるということ。


決して魔力を扱えるわけではないわ。



さらに三つ目は奪った魔術を保持できるのは意識がある間のみということ。


意識を失ったり眠ったりすると魔術は消失してしまうのよ。



最後に四つ目は魔術を奪えるのは1つだけということ。


亮平の能力は圧縮魔術を極限まで極めることによってたどり着いた特性だから。


根本的な部分で圧縮魔術と同じ理論が適用されてしまうらしいわね。



…つまり。



亮平の実力では盗める魔術は1つが限界なのよ。



複数の魔術を保持するのは難しいらしいわ。


あくまでも圧縮魔術の応用だから、

それが亮平の限界なの。



だけどそれでも私の魔術を奪い取れるだけの実力を持っているのよ。



だって当然よね?



どれほど強力な魔術でも『連続攻撃』では常に一つの魔術しか発動していないから。


複数同時に発動すれば奪い取られないけれど。


単発をどれほど連発しても亮平なら奪い続けられるということ。



それが亮平の反則気味な実力なの。



「………。」



………。



「………。」



どれくらい時間が過ぎたのかしら?



誰もが動揺を感じて戸惑い続ける中で、

ようやく亮平は私の体から手を離してくれたわ。



「少しは落ち着いたか?」



…くっ!



笑顔のままで問い掛けてくる亮平を泣きそうな表情で睨みつける。



何も出来なかった自分に悔しさを感じるし、

反則的な能力を持つ亮平に怒りも感じてしまうからよ。



…絶対に殺すっ!!!



プルプルと震える拳に力を込めて全力で右手を振るったわ。


そして亮平の顔を目掛けて平手打ちを狙ったんだけどね。



「…おっと。」



私の手はあっさりとつかみ取られてしまったの。



「何だ?まだ怒ってるのか?」



呆れたと言わんばかりの表情で見つめる亮平の態度が信じられないわよね?



「当然でしょ!!私の唇を奪おうなんて…死んで詫びなさいっ!」



再びルーンを構えて、

亮平に襲い掛かろうとしたんだけど。



「ん?もう一度抱きしめてほしいのか?」



余裕の表情で微笑む亮平の笑顔を見て、

思わず後ずさってしまったわ。



…くっ!



悔しいけれど。


私の力だと亮平には敵わない。



学生として屈指の実力者を持っていても、

本格的な実戦経験を詰んでいる亮平には全く歯が立たないのよ。



もちろん能力の相性が悪いということもあるけどね。



…だけど!



それでもっ!!



唇を奪われた怒りだけは、

きっちりお返ししなければ気が済まないの。



「絶対に地獄に突き落とすっ!!」



気合いを込めて立ち向かう覚悟を決める。


そんな私に対して、

今度は優しく語りかけてきたのよ。




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