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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1779/1873

茫然自失

《サイド:御堂龍馬》



「大丈夫ですよ。」



冷静に声をかけながら即座に魔術を展開していく。



「じっとしていてください。」



そっと力を込めるだけで聖剣が輝きを増して、

瞬間的に攻撃魔術が完成する。



「セイント・クロス!!!」



迫り来る大津波に向けて力を解き放った。



ただそれだけで幾重もの大津波が一瞬にして吹き飛んで消えてしまったんだ。



「もう大丈夫ですよ。」



津波は分散して海面に落ちたからね。


そのせいで少しどころじゃなく海水を浴びてしまったけれど。


服は着替えれば済む話だ。



これくらいなら特に気にする必要はない…と思うんだけど。



「………。」



どうやら藤沢さんにとっては

それどころの問題じゃなかったらしい。



「………。」



津波に襲われるという災害級の出来事に恐怖を感じていたらしく、

茫然自失といった表情で沈静化した海を見つめているんだ。



…ちょっと、やりすぎたかな?



一連の出来事に思考能力が追い付かずに戸惑っているようにさえ見える。



…うーん。



一応、僕が前に立っていたから藤沢さんの服はそれほど濡れてないはずだけど。


髪は海水を浴びてキラキラと光って見える。



…どうしようかな?



髪を乾かすくらいなら魔術でどうにか出来そうだけど。


勝手に手出しするのもどうかと思うよね。



「お怪我はありませんか?」



念の為に問い掛けてみたんだけど。



「………。」



藤沢さんは無言のままで何度も何度も頷くだけだった。




「………。」



恐怖から解放された今でもまだ呆然と海を眺め続けているんだ。


何も考えられないまま立ち尽くしてしまっているという感じかな。



…どうしよう?



このまま放っておくわけにはいかないよね?



振り返る背後には静寂を取り戻した海が広がっている。


そして目の前には茫然自失の藤沢さんがいる。



すでに周囲は特風のみんなも研究所の職員もいない状況だ。


ここにはもう僕と藤沢さんしかいない。



…僕が船まで運ぶしかないのかな?



このままここで藤沢さんが立ち直るのを待つか、

とりあえず藤沢さんを連れて海軍船に戻るしか選択肢はないと思えた。



…実験は中断だよね?



藤沢さんがこの調子では実験の続行は不可能だ。



…まあ、藤沢さんが立ち直っても実験を続行出来るかどうかは疑問だから。



素直に連れて帰ったほうが良いのかもしれないね。



ただ呆然と立ち尽くす藤沢さんの手をとって、

ゆっくりと背負ってみる。



…思っていたより軽いかな?



思考が停止している状態の藤沢さんを背負ってから船に向かって歩き出すことにした。



…とにかく戻ろう。



藤沢さんを背負いながら、

ひとまず海軍船に帰ることにしたんだ。




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