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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
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1778/1897

災害級

《サイド:藤沢瑠美ふじさわるみ



…うんうん。



まあ、やっぱりこうなるわよね~。



「はいはい。ここまでよ。」



両手を軽くたたき合わせながら御堂君の傍に歩み寄る。



「試合終了よ。そして御堂君の勝利で実験も終了。お疲れ様〜。」



声をかけながら気楽な雰囲気でにこやかに微笑んだあとで、

怪我一つない御堂君と全滅した生徒達を見比べてから何度も何度も頷く。



「まあ、予想はしてたけど、やっぱり御堂君の圧勝ね。」



1対5による練習試合は、

特風の生徒達の実力向上と御堂君の実力調査も含めて始めたんだけど。



試合の結果は予想通り御堂君の圧勝で終わってしまったのよ。



現段階において御堂君に次ぐ実力を持つ和泉由香里さんと、

戦闘部門の岩永一郎君と大森遼一君と梶原裕美さんと伊倉信夫君の4人を含めた5人が束になっても、

御堂君にかすり傷一つさえ付けられないことが実証されてしまったの。



「学園においては優秀な特風でも、今の御堂君には遠く及ばないわね。」



戦前の御堂君なら苦戦していたでしょうけど、

戦後の御堂君には全く歯が立たなかったのよ。



…とは言っても。



これは別に彼女達が弱いという意味ではなくて、

御堂君が強すぎるという意味合いが大きいでしょうね。



「御堂君の実力測定はなかなか難しいわね~。」



戦闘で判断するのは事実上、不可能に思えるわ。



…だって、所長や私達でも敵わないのよ?



それでも本気で測定しようと思ったら、

それこそ共和国軍対御堂君ぐらいやってみないと判断できないでしょうね。



…まあ、そこまでやってしまうとね。



さすがの御堂君でも勝ち目がないでしょうけど。



さすがにその規模になると数の差は脅威になるわ。



一人で一軍と戦うなんて言葉では簡単に言えるけれど。


実際にやろうと思うと天文学的な難易度になるから。



単なる試合ならともかく、

本気の戦闘になれば敵の戦略まで読み切らなければまともに戦うどころか前後左右からのあらゆる波状攻撃によって数秒さえ耐え切れずに擦り潰されることになるはずよ。



その辺りの戦闘技術は経験がものをいう世界だから、

さすがの御堂君も一週間程度の経験では対応能力が足りないと思うわ。



…だから、その辺りに関しては天城君が上手うわてでしょうね。



研究所で色々と観察させてもらったけれど。


どこで訓練を積んできたのかと驚くほど危機管理能力が高かったのよ。



一瞬の判断力もそうだけど。


戦闘区域の空間把握能力がずば抜けていたの。



どこに誰がいて、

次に誰が何をしようとしているのかを常にいち早く察知していたのよ。



だからこそあらゆる魔術が変換されてしまうという異常な現象が実現できていたわけだけど。



…あれは私でも真似できないわ。



技術力だけで言えば誰にも負けない自信を持つ私でもお手上げの才能なのよ。



…出来ることなら、もう少し研究してみたかったわね〜。



過ぎたことを言っても手遅れだけど。


個人的には興味深い研究対象だったと思ってる。



…まあ、今は御堂君の調査が最優先だけどね。



ひとまず今回の調査の為にかき集めた職員達に撤収の指示を出すことにしたわ。



「とりあえず5人の生徒を回収して医務室に送ってあげて!」



「「「はい!」」」



集まっていた職員が倒れている生徒達を回収してから海軍船に向かって移動を始める。



「よろしくね~!」



笑顔で職員達を見送ったことで生徒達の安否を気にする必要がなくなったのよ。



「さて、と。それじゃあ実験を続けましょうか」



改めて御堂君に振り返る。


海岸に残ったのは私と御堂君だけよ。


二人きりになった海岸で実験を続行するつもりでいるの。



「ひとまずここなら全力で魔術を発動させても周りに被害が出る心配はないから、安心して暴れてくれていいわよ。」


「…えっと、全力で良いんですか?」


「ええ、良いわよ〜。」



海に向かって聖剣を構えながら確認する御堂君に笑顔で頷く。



「遠慮なくやっちゃってね。」


「あ、はい。分かりました。それでは…」



海に狙いを定めて魔力を込める。


それは一瞬の作業よ。


魔力を集めてルーンに送り込むだけの単純な作業だから。


だけどその単純な作業に膨大な魔力が費やされていくのがはっきりと感じ取れたわ。



…凄いわね〜。



私ならとっくに魔力が尽きていると思えるほど膨大な魔力が込められているのよ。



…もしかしなくてもアルテマ級かしら?



だとしたら、これから放たれる魔術は事実上、

最強の攻撃魔術と言うことになるはず。



「行きます!」



準備を整えた御堂君が魔術を展開する。



大声で叫ぶ御堂君の聖剣が輝きを増して、

周囲にまばゆい光が溢れ出したわ。



「オーバードライブ!!!!」



展開された魔術は御堂君にとって最強の一撃のはず。


文句なしの全力攻撃が海に向かって放たれたのよ。



「滅びの一撃っ!!!!」



宣言と共に放たれた破壊の一撃は、

直線上の海を切り裂きながら遠海にまで突き抜けていく。


そして御堂君が目標とした地点において、

私の予想を遥かに越える大爆発を巻き起こしたのよ。



…ちょっ!?


…嘘でしょっ!!!!!



所長の魔術もやりすぎだったと思うけれど。


御堂君の魔術は桁が違うわ。



大規模の地震さえ起こしながら、

あらゆる方向に向かって吹き飛ぶ海水。


円状に広がる爆風に吹き飛ばされた中心では海に大穴が開いていて、

海底が姿を現すほど圧倒的な破壊力だったのよ。


そのうえで海を突き破った大穴は一瞬では元に戻れずに、

数十秒間もの間、海底の姿を見せ続けてる。



…冗談でしょ!?



さらには爆発の余波による大津波が幾重にも発生していて、

周囲数キロメートルの範囲内に一瞬にして広がっていったのよ。



…何よこれ!?


…災害級じゃないっ!?



予想以上の出来事に言葉を失ってしまったわ。


そして瞬く間に迫り来る津波を眺めながら死の恐怖を感じてしまったのよ。



…死ぬっ!?



目前に迫る大津波。


全体の規模を把握するよりも先に、

島の東部に津波が襲い掛かってきたの。



「う、うそぉぉぉぉぉぉぉっ!?」



恐怖にかられて震える体。


絶望的な死の恐怖を感じて怯える私の前に、

御堂君が歩み出てくれたのよ。



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