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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1776/1864

除名

《サイド:鈴置美春》



…えっと?



どういうつもりなのかしら?



海軍の船の医務室に入ってからすぐに室内を見渡してみたんだけどね。


捜している人物の姿はどこにも見当たらなかったのよ。



…おかしいわね~?



どこにもいないじゃない。



「ねえねえ、千夏がどこに行ったのか知らない?」



医務室で待機していた野坂瑞希のさかみきちゃんに話しかけてみたんだけどね。



「さあ?特に何も聞いてないので、私も知らないです。」



瑞希ちゃんも知らない様子だったわ。



「今日は一緒じゃないんですか?珍しいですね。」



…うぅ〜ん。



どうやら本当に何も知らないみたいね。



「ここには来てないの?」


「今日はまだ来てないですよ。それに先輩達はどちらかと言えば戦闘部門ですよね?さりげなく医務室勤務から外されてますし。」



…えっ?



ええええええええええええええええっ!?



「嘘ぉぉぉぉっ!?」



瑞希ちゃんの言葉を聞いて、

慌てて勤務表を確認してみたわ。


そして私も知ってしまったの。



…どうしてっ!?



勤務時間の一覧表からね。


本当に私と千夏の名前が削除されていたのよ。



…いつの間にっ!?



「何も聞いてないわよ!?」


「…あれ?そうなんですか?」


「瑞希ちゃんは知ってたの!?」


「いえ、私も今朝知ったばかりですよ?」


「そ、そうなの…?でも…どうして?」



勤務表を眺めながら戸惑ってしまったことで、

担当医の一人が話しかけてくれたのよ。



「どうやら説明が後回しになっていたみたいだね。」


「えっと…先生はご存じだったんですか?」


「通達があったのは2時間ほど前になるかな?」


「そ、そうなんですか…。」


「ああ…まあ、栗原薫さんの活躍によって負傷者がいないという理由もあるだろうけど。きみ達はセルビナ王国との戦力に計算されているみたいだからね。余計なことに魔力を浪費しないように、医務室の勤務から外すように指示を受けたんだ。」



…うわ〜〜〜〜~。



私が知らない間に、勝手に話が進んでいるのね。



本来の職務から無断で外されていた事実を知って落ち込んでしまったわ。



…と言うか?



すでに治療班じゃなくて、

戦力として扱われていることに切ない気持ちを感じてしまうわね。



…私の立場って、何なのかしら?



医師を目指しているのに、

戦士として期待されてる事実に悩んでしまったのよ。



…でもまあ、あれだけ暴れれば当然かしら?



特性に覚醒してルーンまで使えるようになったから。


現在は明らかな前衛型だと思うし、

後方支援に徹するのは勿体ないという考えを否定できないの。



…戦闘部門、ね。



文句を言うつもりはないけれど。


今でも殺し合いはご遠慮願いたい役割の一つだと思ってる。



…だけどまあ。



御堂先輩達も頑張ってるわけだし。



…私だけ嫌だなんて言えないわよね?



個人的には医師として活動したいけれど。


現状を考えれば戦わないわけにはいかないのよ。



…それでも私の力で誰かが救えるのなら良いのかな?



扱いに関して文句は言わないわ。



…だけど、それはそれとして。



「千夏もですか?」



どう考えても千夏は戦力にならないと思うんだけど?



「何か理由があるんですか?」


「あ、ああ、まあ、ね…。」



確認してみたことで、

先生は苦笑しながら答えてくれたのよ。



「本人の希望なんだよ。先ほど控室で頼まれて勤務から外したんだ。」



…えっ!?



「本人って…千夏と会ったんですか!?」


「あ、ああ…そうだよ。どうも他の船にいる誰かに会いに行くようなことを言っていたから、今は別の船にいるんじゃないかな?」



…他の船?


…千夏が?


…私に無断で?



色々と疑問が尽きないけれど。


今、私達がいる旗艦じゃなくて、

合流した共和国軍の船のどこかに行ったっていうことみたい。



「どこに行ったのかしら?」


「そこまでは知らないけれど…。ああ、そうそう。実はきみに『伝言』を頼まれていたんだった。」



…伝言?


…わざわざ先生に?



「何を言ってたんですか?」


「まあ、彼女らしいというか何と言うか…『黙って殺られる趣味はないから、私だって強くなって見せるわ!!』と言って控室を出て行ったよ。」



…ちっ!



千夏め~。



…上手く逃げたわね。



私の企みをいち早く悟って逃亡したっていうことよ。



どの船に逃げ込んだのかは知らないけれど。


今の私はみんなの期待を背負っている立場だから、

千夏を撲殺するなんていうくだらない理由でこの船から離れるわけには行かないわ。



…まあ、良いわよ。



しばらくは放置で見逃してあげる。



千夏が本当に成長するのかどうかは知らないけれど。


本人が宣言してる以上、

様子を見るのも悪くないとは思うし。



「まあ、何でも良いですけど。本当に私達は医務室に勤務しなくて良いんですか?」


「今のところはね。」



念のために確認してみたんだけどね。



「ひとまず次の戦闘が起きるまでは特にすることもないから問題はないよ。」



あっさりと必要ないって言われてしまったのよ。



「もちろん、こちらで手に負えない状況になったら協力を願うかもしれないけどね。」



…手に負えない状況ね〜。



もしもそうなれば私だけじゃなくて、

栗原さんもここに呼ばれることになるでしょうね。



…まあ、それまでは自由行動と思っておけばいいのかな?



それはそれで気が楽で良いとは思うわ。



「それじゃあ、何かあったらいつでも呼んでください。」


「ああ、その時はよろしく頼むよ。」


「はい!」



先生との話を終えたことで、

ひとまず医務室を出ることにしたの。



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