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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1772/1879

残された願い

「私も!私も一緒にっ!!」



『ダメですよ、薫。』


『ダメだよ、薫ちゃん。』



…どうしてよっ!?



『薫は生きてください。』


『薫ちゃんには幸せになってほしいの。』



…でもっ!



「私はっ!!」



手が届かないことに絶望を感じて泣き叫んでしまったわ。



そんな私に、愛里が優しく語りかけてくれたの。



『泣かないで、薫ちゃん。私は薫ちゃんの笑顔が見たいから。』



…笑えないっ!



「笑えないわよっ!兄貴も愛里もいなくなったのにっ。笑えるわけがないじゃないっ!!私を一人にしないでよっ!!私も一緒にいさせてよっ!!」



悲しみが抑えきれなくて、

必死に泣き叫んでしまったわ。



そのせいで。


ついに愛里も涙をこぼしてしまったのよ。



『…一人じゃない。一人じゃないよ。薫ちゃんの傍には私達がいるよ。それに、ね。今の薫ちゃんには大切な人がいるでしょ?』



…大切な人?



『そう。常盤成美さん。彼女はね、今も薫ちゃんの傍で薫ちゃんが目覚めるのを待ってるんだよ。薫ちゃんが笑顔を見せてくれるのを、ずっと待ち続けているの。』



…成美が?



確かに今の私にとって唯一守りたい存在だとは思っているわ。



…だけど。



「だけど私は何も出来ないのよっ!」



戦う力もないし。


誰かを守ることだって出来ないの。



「このままだときっと成美も犠牲にしてしまうわっ!」



兄貴と愛里と同じように。



「きっと成美まで…っ!!」



ルーンに目覚めても私に出来ることは回復だけで、

戦う力はなくて誰かを守ることさえ出来ないのよ。



「私には誰も守れないっ!私には誰も救えないのよっ!!」



自分の限界を知ってしまったから。


自分自身に絶望しているの。



「生きていたって何もできないんだから…だから傍にいさせてよ…っ!」



二人と一緒にいられるのなら他には何もいらないの。



…だから、もう良いでしょ?



私はもう、自分にできることは全部したわ。



…だからもう。



『まだダメですよ。』



…どうしてっ!?



「どうして兄貴まで、私を拒絶するのよっ!?」



『何も出来なくても良いんです。薫はそれで良いんですよ。無理に戦うのではなくて、その想いを最後まで貫き通せば良いんです。』



…そんなの、ただのわがままじゃないっ!



『わがままで良いんですよ。薫の想いがいつかきっと幸せな結末に繋がると信じて、薫は薫らしく生きてくれれば良いんです。』



…だけどっ!



私が何もできない代わりに、

誰かが血で手を染めることに変わりはないわ!



すでに成美が多くの命を奪ってしまったように。


私の代わりに誰かが誰かを殺すのよ。



その現実は変えられないし、

そんな現実を見たいとも思わない。



…争いなんて、なくなればいいのに。



『その気持ちがあれば大丈夫ですよ。』



…全然、大丈夫じゃないわよ。



『大丈夫です。自分の力を信じてください。いつか願いが叶う日が来ると信じて、今は現実と向き合ってください。』



…向き合った現実が、今の状況でしょ?



『だからですよ。薫には世界を変える力があることを僕達は知っています。だから今は自分自身を信じてください。』



…私のどこにそんな力があるって言うのよ?



『出来ますよ。』


『うん。薫ちゃんならきっと出来るよ♪』



…愛里までそんなことを言うの?



『そうだよ。いつも元気で、明るくて、とっても優しい薫ちゃんを私は知ってるから。だからその笑顔で沢山の人達を守ってあげて。』



…笑顔で世界が変えられるなら、苦労なんてしないわよ。



『出来るよ。薫ちゃんなら出来る♪薫ちゃんなら必ず世界を変えられるって、私は信じてるから。』



…愛里。



「…私は…っ。」



『最後まで諦めないでください。』


『薫ちゃんなら出来るよ♪』



………。



笑顔で応援してくれる二人の想いが優しすぎて、

想いが止まらなくなって泣き続けてしまったわ。



「私は…っ。私は…っ!」



『大丈夫だよ。薫ちゃんなら必ず夢は叶えられるから♪』


『その時が来るまで、僕達が薫を守ります。』



「愛里っ!兄貴っ!」



泣き叫ぶ薫の視線の先で、

二人の姿が徐々に消え始めたのよ。



…待ってっ!!



「私を置いて行かないでっ!!」



『いつも傍にいるよ♪』


『薫の幸せを願っています』



…嫌っ!!


…嫌ああああああああああああああああっ!!!



泣き叫びながら必死に手を伸ばす。



それなのに。



私の想いは届くことがないまま、

二人の姿は見えなくなってしまったのよ。



「兄貴…っ!!愛里…っ!!」



暗闇の中で叫び続ける。



そんな私に…新たな声が届いてきたの。




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