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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1770/1879

どうやって克服するのか

《サイド:黒柳大悟》



ゼルテニア海峡での戦闘を終えたあと。


セルビナ方面に派遣されていた海軍と合流した俺達は、

攻撃を受けて損壊した船の修復の為にセルビナ王国から離れるために南方に点在する島の一つに上陸することにした。



「良しっ!碇を降ろして船を停泊させろっ!!」



俺の指示によって16隻の海軍船が次々と動きを止めていく。



「偵察部隊は島に上陸して周囲を探索しろっ!安全を確保次第、全員を島に上陸させる!!」



島の内部にセルビナ海軍の伏兵がいないか?


あるいは他国の密偵などが潜んでいないか?



安全を確保するために確認だけはしておくべきだからな。


巨大軍船から小舟に乗り換えた偵察部隊が続々と島に上陸していく様子を眺めながら、

更なる指示をだす。



「全ての船大工を集めて早急に船の点検を行わせろ!それと並行して食事の準備も進めておけ!」



船の修理も重要だが、

兵の士気を維持することも重要だからな。



食事と休息の準備は必要になるだろう。



「それと各方面の監視も怠るな!」



セルビナ軍の残党が攻め込んでくる可能性もあるからだ。


まだまだ油断は出来ない。



「船の接近がないか、常に監視しておけ!」



複数の指示を出したことによって、

乗組員達が大慌てで船の各所を駆け回っていく。



それらの様子を眺めながら、

緊急事態に備えて対策を考えることにした。



…セルビナの船はほぼ全て沈んだために、もはや海戦は不可能だと思うが。



それでも海軍そのものはかなりの戦力を残しているはずだ。



出来る限り殺さないように配慮していたからな。



だからこそ。


いつまたセルビナ軍が襲い掛かって来るかも分からない。



…今はまだ安心は出来ないだろう。



船だけを破壊して海軍を見逃したことによって、

安心して休息をとるのは難しい状況なのだ。



…再びセルビナ海軍が攻め込んで来る可能性がないとは言いきれないからな。



船がなければ海は越えられないはずだが、

それでも絶対とは言いきれない。



…それにまだ軍船を残していたとしたら、再び攻め込んでくるはずだ。



その時にまた船だけを破壊して海軍を見逃せるかどうかは分からない。


敵を守るために味方を失うようでは意味がないからな。



極力、生存を優先したいとは思うが、

実際にどこまで対応できるかはその時になってみなければわからないことだ。



…とは言え。



戦争に勝利したあとのことも考えなければならない。


どうしようもないと判断せざるを得ない状況に陥るまでは、

セルビナ軍の保護も行いたいと考えている。



…軍隊を壊滅させて国を滅ぼすだけならそれほど難しいことではないのだ。



もちろんそうなれば両国の犠牲は計り知れないが、

勝利だけを目指すならそれほど難しいことではないだろう。



だがそれでは和平は実現できないのも事実になる。



一人でも多くの命を守り、

共和国に対する不満や憎しみを少しでも減少させる必要がある。



殺し合う必要はないということを行動で示せれば、

栗原君の理想は現実になるかもしれないと思うからだ。



…現段階ではまだ夢物語でしかないが。



だからと言って努力を放棄するようでは未来は変えられない。



望むベき未来があるのであれば、

そのための努力は積み重ねるべきだろう。



…誰も殺さずに進めるほど戦争は甘くないがな。



まずはやってみなければ何も変わらないのだ。



努力だけで世界が変わるほど魔術師に対する恐怖は決して小さくない。


魔術という力を恐れる人々の心から恐怖を拭い去るのは容易ではないからな。



…恐怖を拭い去らない限り、本当の平和は訪れないだろう。



問題はその課題をどうやって克服するのか、だ。



今はまだ全てを解決する為の『鍵』が足りていないように思う。


栗原君の理想を実現する為の鍵が足りないのだ。



平和の為の第一歩は栗原君の願いによって踏み出せた。


だがそれだけではまだまだ足りない。



理想という名の扉を開く為の鍵が足りていないのだ。



最初の一歩は踏み出せたものの。


その先に進む為の鍵が足りないままになる。



…もしもそれが天城君の遺した希望であるとすれば?



御堂君達にもそれぞれの役目があるのかもしれない。


栗原君の理想から始まり、

平和の実現に至る為の役割だ。



…天城君はその為の希望を御堂君達に遺したのか?



5つの希望の一角である栗原君の想いが動き出した現状。


残る4人にも何らかの意味があると考えるべきではないだろうか?



…もしかすると。



理想へ至る為の鍵は、

御堂君達にも託されているのかもしれない。



それらあらゆる可能性を考えながら思案を続けてみる。


理想とする未来をつかみ取る為に、

全力で考え続けることにしたのだ。



…おそらく最後の鍵は御堂君だろうな。



理想を現実にする為の最後の鍵は御堂君にあると直感的に感じている。



…だが、今の状況ではまだ判断できないか。



全ての答えは戦争が終わったあとに分かるのかもしれない。



だから今は海軍の兵士達や乗組員達の動きを確認しつつ、

全ての準備が整うまで待つことにした。



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