5千の被害
「現在の状況はどうだ?」
各船の現状を問い掛けてみたことで、
他船の乗組員が順番に答えてくれた。
「報告します。先行していた5隻の船に乗り込んでいた共和国軍に関してはほぼ壊滅状態でした。救助出来たのはごく一部です。何とか700名ほどの救助には成功しましたが、残り4300名に関しては残念ながら…」
救助出来なかったらしい。
さすがに状況が状況だったからな。
救助が間に合わなかったのは仕方がないと割り切るしかないだろう。
救助活動の結果を報告してくれた乗組員に続いて、
他の船の艦長も報告を始めてくれた。
「複数の船において致命的な被害が各所に見られます。このままではセルビナ王国に進むどころか、まともな航行さえ難しいと思います。一度どこかに寄港して船の修理を優先するべきではないでしょうか?」
…ふむ。
…船の破損か。
確かにそれは放置できるような問題ではないな。
「他にも報告はあるか?」
「海軍の被害も軽視出来ません。負傷者の数は数え切れませんが、各船において100名前後の死者が出ています」
…ちっ。
やはり死者が続出しているのか。
ざっと現在の戦力を計算してみる。
…現在は15隻の艦隊におよそ900名ずつのようだ。
そこにこの船の乗組員と救助した海軍を加算すると、
残存する戦力はおよそ15000人程度だろうか。
数万ものセルビナ軍を相手にしていながら、
5000の被害でおさまったのは不幸中の幸運と言えなくもないだろう。
それでもこれからセルビナ王国に攻め込むにあたって、
この戦力では心許ないのも事実だ。
…とは言っても、援軍は期待できないからな。
今はこの戦力だけで乗り切るしかない。
その為には出来る限り万全の態勢を整える必要があるだろう。
…とにかく今は船の復旧作業と全員の休息が急務か。
全ての船を戦闘に耐え切れる状態に戻して全員の魔力を回復させることが最優先になる。
「良しっ!それではこれから場所を移動する!まずは一度、船を停泊させて船の応急処置と全員の休息を優先させよう。」
俺の指示に従って各船の艦長達がそれぞれの船へと戻っていく。
その行動を見送ってから次に御堂君に話し掛けることにした。
「きみ達も今は体を休めることを優先するんだ。いつまたセルビナ軍が襲い掛かって来るか分からんからな。ひとまず休める時に休んでおくと良い。」
休息を勧めてから移動する。
これからの針路を決める為に。
西園寺君と藤沢君を引き連れて、
操舵室へと向かうことにしたのだ。




