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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1749/1867

想いの行方は

《サイド:御堂龍馬》



徐々に消え去ていく暖かな光。



魔力を使い果たした様子の栗原さんが力尽きるのとほぼ同時に、

戦場を包み込んでいた光は静かに消え去ってしまったんだ。


まるで最初から何も存在していなかったかのように。


ゆっくりと消えていったんだ。



「「「「「………。」」」」」



光が消えたあとに残るのは、

栗原さんの願いに戸惑う人々だけ。



共和国軍もセルビナ軍も関係なく。


誰もが戸惑いを感じて動きを止める中で、

僕は自然と笑顔を浮かべて笑ってしまっていた。



…ふふっ。



「あはははっ!」



光に乗せて届いた想いを聞いて笑ってしまったんだ。



光が消えた世界で。


戦場という場所に立ちながら。


自分でも不思議なくらいはっきりと笑っていた。



「すごいよ、栗原さん。」



声の主が誰かなんて考えるまでもないよね?



誰の魔術だったかなんて考えるまでもないんだ。



栗原さんの優しい想いを感じることが出来たから。



「この状況にあってもまだ、それほどの想いを貫き通せる心の強さを尊敬するよ。」



すでに始まってしまった戦争だけど。


それでも停戦を願って、

争いのない世界を願った栗原さんの行動を笑わずにはいられなかった。



…とは言っても。



もちろんそれは決して栗原さんの行動を馬鹿にしてるわけじゃない。



敵も味方も関係なく全ての人々の治療を行った栗原さんの行動そのものは決して褒められる行為ではないのかもしれないけれど。



…それでもね。



だからこそ栗原さんらしいと思えたんだ。


誰も傷付けない戦いを選んだ栗原さんの行動を素直に尊敬したいと思えたんだよ。



「きみの想いは十分に伝わったよ。」



それはたぶん僕だけじゃなくて、

共和国軍はもちろんだけど、

セルビナ軍にも届いたと思うんだ。



「きみが望む世界。その願いが叶うどうかは、このあとのセルビナ軍の動きにかかっているだろうね。」



必死に停戦を望んだ栗原さんの想いを受け入れるのか?


それとも戦闘を続行するのか?



運命の行方はセルビナ軍に委ねられた。



「共和国側から攻撃を仕掛けることはないはずだ。だから…」



だからこの戦いの結末を決めるのはセルビナ軍になる。



「…不可能はない、か。」



栗原さんが残した想いと言葉を僕も信じたいと思う。



「確かにね。争いなんて僕達には必要ないんだ。」



僕達が望むのは平和だからね。


決して殺し合いがしたいわけじゃないんだよ。



「だからセルビナが退けば戦争は終わるはず。」



戦争を終わらせるのは決して不可能なことではない。



セルビナ軍が退けば戦争は終わる。


だけどもしも退かなければ?


戦争は続いてしまうのかもしれない。



互いに殺し合って、

互いに傷付け合う戦いが続いてしまうんだ。



「栗原さんの想いの行方は…」



セルビナ軍の決断次第になる。


次に出るセルビナ軍の行動が『攻撃』か『撤退』か?



その判断に戦争の行く末がかかっているんだ。



「栗原さんと同じように、僕も願うよ。」



戦争なんて僕達には必要ない。



…だから。



だからこそ軍を退いてほしい。



栗原さんの願いが叶うことを願いながら、

セルビナ軍の動きを眺めることにした。



ここで全てが終わることを願いながら。


ただ一心に終戦を願いながら。


セルビナ軍の判断を待つことにしたんだ。



「ねえ、栗原さん。僕はきみの想いに賛同するよ。」



もう誰も失わずに済むのなら。


もう誰も傷付かずに済むのなら。



「きみの願いには大きな価値があるはずだ。」



だから今は待とうと思う。



停戦を望みながら。


平和の実現を望みながら。



セルビナ軍の判断を待つことにしたんだ。




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