成美の欠点
《サイド:栗原薫》
…うわわわっ!
「マイティ・ガード!!!」
海軍船の西側で叫ぶ私の声と共に生まれる光の膜が船に襲い掛かろうとしていた陰陽術を辛うじて防いでくれたわ。
…だけど。
ただそれだけなのよ。
攻撃を防いだだけでしかないの。
幾つかの陰陽術を防いだだけで消え去ってしまう防御結界。
幾度となく繰り返して発動した防御結界だったけれど。
そのことごとくが陰陽術によって掻き消されてしまっていたのよ。
…うあぁぁぁ~!
「さすがにもう魔力が持たないわ。」
ここにたどり着く前から防御結界を連続使用していたのよ?
そのせいで私の魔力は限界に達しようとしているの。
「ちょっと、この先は無理かも…?」
軽い目眩を感じて、
しゃがみ込んでしまうほどだったのよ。
「私も疲れました…。」
すぐ傍にいる成美もすでに限界みたい。
今はまだ限られた魔力で防御結界を維持してくれているけれど。
それもいつまで持つか分からない状況になっているの。
…さすがにこれ以上の時間稼ぎは無理かもね。
陰陽師軍の攻撃を防ぐばかりで思うように攻撃が出来ない私達の魔力は底を尽きかけていて、
今にも意識を失って倒れそうな状況なのよ。
一応、私一人なら特殊な防御結界によってどんな攻撃も防げるかもしれないけれど。
それだけだと船への攻撃は防げないわ。
…攻撃をしないと戦いが終わらないのよ。
そうは思っても、私は攻撃魔術が使えないのよね〜。
…成美ちゃんが攻撃の要とはいえ。
これがなかなか上手く行かなかったのよ。
これまでにもね。
何度か攻撃を試みていたわ。
私が防御結界を張って、
成美が攻撃魔術を放つっていう方法をすでに実践していたのよ。
…だけど。
私達の作戦は見事に失敗してしまったの。
成美の魔術が海軍船に届く前に、
解呪によって魔術が掻き消されてしまうというむなしい結果を何度も繰り返していたから。
…詠唱がなくて直感的に魔術が発動できるだけでも十分凄いんだけど。
それでもまだ軍船を沈めるには遅いのよね。
魔術の理論を理解していない成美の魔術は一つ一つの動作があやふやなせいで、
どうしても連続攻撃が出来ないのよ。
…かといって。
単発で発動する魔術では数千の陰陽師軍を相手に攻撃しきれないわ。
それが成美の欠点だったのよ。
魔術を連続で発動できれば良いんだけど。
そうそう上手くはいかないみたい。
でもね?
だからと言って大規模魔術を使ってしまえば救助活動に支障が出ることになるのよ。
「何か良い方法がないのかしら?」
思い悩む間にも消えかかっている成美の防御結界。
必死に意識を維持しながら私も防御結界を展開しようとしてみるんだけど。
その程度ではホンの数秒の時間稼ぎにしかならないわ。
…何もしないよりは良いんだけどね。
だけどこれだと根本的な解決にはならないのよ。
「どうにかして攻撃を…。」
…って、あれ?
今更だけどね。
ここにきて一つだけ疑問を感じてしまったのよ。
「ねえ、成美。」
「はい?」
私の呼び掛けで振り返ってくれる成美に、
重要な問題を問い掛けてみることにしたの。




