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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1727/1879

竜崎一成

やっぱり、あの日のことを悔やんでいるのね。



…あのかたを失ってしまったあの日のことを。



雪が愛していたあのかたは、

私にとっても父親と呼べる存在だったのよ。


竜崎慶太の父であり、

かつては竜の牙の頂点に立っていた人物でもあるから。



あの方の名前は竜崎一成りゅうざきかずなり



竜の牙の幹部の中でも最高峰と称されるほどの実力を持つかただったけれど。


竜谷と竜道寺の反乱によって、

竜の牙の砦の地下に幽閉される身になってしまったの。



あれはもう、今から4年前の出来事になるわね。



そしてそれはかつてアストリア王国にあった小さな漁村を竜の牙の部隊が襲撃してから1年ほどあとの出来事でもあるわ。



竜崎一族が持つ秘宝の力に魅入られた竜谷と竜道寺の一族が日に日に暴走を加速させて、

秘宝探索の為に組織を私物化させ始めたことが全ての始まりだったのよ。



戦いから引退した天城総司あまぎそうじの命を狙い。


裏切りによって竜崎一成りゅうざきかずなり様を幽閉して2つの秘宝を奪い取り。


共和国を敵にまわしてでも新たな秘宝を追い求めた竜谷と竜道寺。



その暴走を食い止めるために、

4年前のあの日に戦うことを決意した慶太は決戦を挑んだの。



3000の兵を率いて、

現在の竜の牙に戦いを挑んだのよ。



竜の牙を二分した決戦。



その戦いにおいて一度は竜崎一成様と2つの秘宝を奪還した私達だったけれど。


結果的に勝利は得られなかったわ。



内部分裂になった戦いの結末は、

私達の敗北だったからよ。



竜の牙の大多数の仲間を率いて竜崎一族に反乱を起こした竜谷と竜道寺の一族の抵抗を受けて敗北してしまったの。



敗北の理由は圧倒的な戦力差ということもあったけれど。


それ以上に竜谷と竜道寺の一族は竜崎一族を相手にしてでも戦い抜ける力を隠し持っていたのよ。



…私達が思う以上に彼等は強くなっていたわ。



竜谷と戦った慶太。


竜道寺と戦った竜崎一成様。


二人は秘宝を駆使して竜の牙と対立したの。



…だけど。



それでも勝てなかったのよ。



当時はまだ秘宝を使いこなせなかったことで、

慶太は成す術もないまま竜谷一族に敗北してしまったわ。



そのせいで秘宝を奪いとられてしまい。


瀕死の重傷を負ってしまったのよ。



そうして私達の戦いが敗北に陥りかけた時点で、

竜崎一成様が自らの最期を覚悟されたの。



その手に残された秘宝【千里の瞳】を慶太に委ねてから、

竜崎一成様は最期の魔術を展開したわ。



慶太を守る為に。


雪や私を守る為に。



そして多くの仲間達を守る為に。



竜崎一成様は自らの命と引き換えにして、

竜の牙に最期の一撃を放ったのよ。



愛する家族を守る為に。


竜崎一成様は最後まで竜の牙に抵抗してくださったの。



その最期を。


その最後の戦いを…私達は見届けたわ。



竜の牙の反乱によって全滅寸前にあった私達の部隊を撤退させる為に、

最後まで戦い続けてくださったから。


絶体絶命の状況でも私達は、

竜崎一成様の最期を見届けたのよ。



仲間を撤退させながら最後まで戦場に残っていた慶太と雪と私だけは、

竜崎一成の最期をこの目で見ていたの。



…あの方がいたから、今の私達があるのよ。



命を引き換えにして退路を開いた竜崎一成様の最期を今でもはっきりと覚えてる。



…助けに行った私達があの方に助けられたという現実を今でも忘れられないから。



最終的に秘宝の一つを奪還することは成功したけれど。


肝心の竜崎一成様の救出という最大の目的は失敗したのよ。



あの日の絶望とあの日の屈辱は、

今でもはっきりと覚えているわ。



…だからこそ。



あの日の出来事と北条辰雄を重ね見ているんでしょうね。



父を失った悲しみと絶望を北条辰雄に重ね見る雪の想いを知った私にはもう…何も言うことが出来なかったのよ。




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