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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1725/1864

致せり尽くせり

「それじゃあ、まずは影の訓練を進めましょうか♪お昼になったらまた美味しいご飯を用意してあげるから、それまで楽しみにして頑張ってね♪」



…えっと。



お昼ご飯?



用意して貰えるのは素直にありがたいんだけど。



…でも、ね?



もうすでに食べられる気がしないのよ。



その理由はもちろん、

ついさっき暴食としか表現できないほど食べさせられたからよ。



なのに…断ることが出来ない空気が漂っているわ。



…要らないって言っても、無駄なんでしょうね〜。



美咲さんは絶対に料理を用意すると思う。


それだけは間違いないって断言できるわ。



…ある意味で嫌がらせだけど。



そうやって私が悩む姿を見たいんでしょうね。



美咲さんの趣味と趣向によって完全に振り回されているのは分かってるわ。


それでも逆らえないのよ。



…裏の性格はともかくとして。



やってもらえる行動自体は好意と言えなくもないし。



…下手に文句は言えないのよね〜。



見方によっては致せり尽くせりの状況なのよ。



泊まる部屋があって。


美味しい食事があって。


面倒を見てくれるお姉さんがいるの。



事実だけを客観的に見れば、

ものすごく幸せな生活と言えなくもないわ。



…だけど。



これを幸せって言って良いのかどうかは、

かなり疑問だけどね?



精神的にも体力的にも何故か疲労感が漂ってしまうからよ。


個人的な意見を言ってしまうなら絶対に幸せだとは思わない。



…とは言え。



考えても仕方がないことだし。


とにかく今は訓練を優先するべきよね?



お腹が一杯でひたすら気持ち悪い状態だけど。


それでも魔術を展開するくらいは問題なく出来るわ。



「まずは普通に光属性を使えば良いんですよね?」


「ええ、そうよ♪まずは光属性から影を生み出すことが最初の課題だから♪」



…うん、まあ。



訓練の内容はものすごくまともだし。



…ちょっと、頑張ってみようかな?



「ライト・ボール!!」



発動したのは魔術師なら誰でも扱えるような簡易の光魔術よ。



初心者向けの小さな光を生み出すだけの簡単な魔術なんだけど。


現れた光が照らし出す範囲の裏側には確かに影が存在しているわ。



「ここからどうするんですか?」


「そうね~。ここからが問題なんだけど、光によって生まれた影はあくまでも普通の影でしかないわ。」



…えっと。



それはつまり?



…魔術で生み出した影じゃなくて、自然発生した影っていう意味よね?



「ええ、そうよ。その影を単純に操ることも間違いではないけれど、たぶん今の乃絵瑠ちゃんでは出来ないと思うわ。」



…光によって生まれた影は私には扱えないってこと?



「今はそうね。だから乃絵瑠ちゃんがやるべきことは光によって現れる影に干渉することなのよ♪」



…影に干渉?



「その違いが分からないんですけど?」


「そうね~。言い方を変えるなら、影を作ることじゃなくて、影を操るのが目的ということよ♪」



…ああ、なるほど。



光を生み出して影を作るんじゃなくて、

ちゃんと影を操って見せろっていうことね。



「光の当たらない場所に影が出来るのは当たり前の現象よ♪その程度で影は極められないわ。」


「それじゃあ、どうするんですか?」


「影が出来るんじゃなくて、影を動かせるように目指すのよっ♪」



…う~ん。



なんとなく分かるような分からないような微妙な違いよね。



自然と出来上がる影じゃなくて、

自分の意志で影を作るっていうことみたいだけど。



その違いはいまいち分かり辛いのよ。



「もう少し説明するなら、光によって現れる影を自分の意志で操れるように頑張るの♪乃絵瑠ちゃんの光を工夫して、自分の思い通りの場所に思い通りの影を作ることが最初の課題になるわね♪」



…ああ、それなら分かるかも。



私が作る光を工夫して、

影を調節しろっていうことよね?



自分の意志と力で影を自在に操れるようになることが最初の課題みたい。



…まずは影を自由自在に作れるようになることかな。



それが第一歩ということに気付いて訓練に集中することにしたの。



…光を調節して影を作り出す方法。



その最初の課題を乗り越える為に。


ついに訓練を開始したのよ。



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