一番の激戦区
《サイド:栗原薫》
頼まれて引き受けたのは良いんだけどね。
…うぅ~ん。
これはちょっと心配…かな?
疲れが見える表情で私を見つめていた成美に気付いて。
一旦、問い掛けてみることにしたのよ。
「大丈夫?疲れてない?」
心配して聞いてみたんだけどね。
「まだまだ大丈夫ですっ♪」
成美は無理に笑顔を浮かべていたわ。
「薫と一緒だから、まだ頑張れますっ♪」
…まだ、ね。
健気に答えてくれる成美だけど。
疲労が隠しきれていないのよね~?
…やっぱり戦闘はまだ無理だったようね。
そもそも魔術の基礎さえもないわけだし。
必死に微笑んでくれる成美を見つめながら、
改めて私が頑張ることにしたのよ。
…とにかく今は成美ちゃんに無理をさせないように、私が頑張らないとねっ!
そのために結界へと意識を向けることにしたの。
「とりあえずは敵の攻撃を防ぐことが優先よ!」
陰陽師軍に視線を向けてみる。
私が見える範囲だけでも5隻の軍船が存在しているわ。
…確か、12隻による包囲網なのよね?
それなのに。
…ここが5隻、って!?
…もしかしてここが一番の激戦区なのっ!?
共和国がある東側から包囲網を突き抜けてきたことで、
当然東側の包囲網が最も薄くて西側の包囲網が最も厚いのよ。
…うわぁ~。
…これってかなり危険な状況かも?
成美が全力で攻撃してくれれば、
5隻の艦隊は恐れる存在ではないかもしれないけれど。
現在の状況として周辺海域において共和国軍の救助作業が進行しているから、
あまり大規模な魔術は使用できないわ。
下手に暴れてしまうと魔術の衝撃によって発生する津波で味方まで海の底に沈ませかねないからよ。
…まあ、そもそも今の成美ちゃんにそこまで期待できるかどうかがすでに疑問だけどね。
大規模魔術を使うわけにはいかないけれど。
それ以前に使えるかどうかが疑わしい状況なのよ。
…ここで成美ちゃんに無理をさせるわけにはいかないから。
ひとまず誰かが戻ってきてくれるまで、
防御に徹するのが得策かしら?
それしかないと考えた私は、
成美と二人で防御に徹することにしたのよ。
「今の私達には攻撃力が足りないから、時間を稼ぐことに集中するわよ。」
「はいっ♪頑張りますっ♪」
…う~〜〜〜〜ん?
これ以上頑張りすぎると成美が心配なんだけどね。
だけど今は必死に笑顔を浮かべて明るく振る舞う成美の頭を撫でてから、
急いで魔術の準備を始めることにしたの。




