やられた分は
《サイド:鈴置美春》
「ありがとうっ!貴女のおかげで助かったわ!」
「いえいえ。無事で何よりです。」
心から感謝してくれる女性に微笑んでから、
常盤さんと栗原さんに視線を向けてみる。
「あの二人が気付いたからギリギリ間に合っただけですので、お礼ならあの二人に言ってあげて下さい。」
「ん?そうなの?」
「ええ。」
「おっけ〜!」
私の説明によって目の前の女性は素直に二人に感謝していたわ。
「ありがとう、助かったわ!私って泳げないから、もう少しで溺れて死ぬところだったのよ…って、あれ?栗原さんがいるの?」
今になって気付いたようね。
照れくさそうに苦笑いを浮かべていたわ。
「どういう状況か分からないけどまあ…とりあえず、ありがと!それと隣の子は初対面よね?私は由香里。和泉由香里っていうの。よろしくね。」
「あ…はい。こちらこそ、よろしくお願いしますっ。」
律儀にお辞儀をしてから、
常盤さんも自己紹介をしていたわ。
「私は常磐成美です。」
「常盤?って言うことは、もしかしてあれなの?沙織の妹?」
「あ、はい。そうです!」
「そっか、そっか~。うんうん。よく似てるわね~。」
「あ、ありがとうございます。」
和やかな雰囲気で挨拶をしあう二人の様子を眺めながら、
御堂先輩が和泉さんに話しかけていたわ。
「ひとまず無事で何よりだね。」
「あと数分遅れてたら危なかったけどね~。」
「そうみたいだね。とりあえず色々と聞きたいことがあるんだけど、今はそれどころじゃないから、しばらく休んでいてくれないかな?」
「え?あ~、うん。まあ、それでも良いんだけどね~。」
御堂先輩の気遣いを横においた和泉さんは笑顔で宣言していたわ。
「御堂君の気持ちは有り難いけど。海の上でいたぶってくれた陰陽師の連中にきっちり『お礼』をしたいから、私も参加させてもらうわよ!」
荷物を手放した和泉さんは、
気合を込めてルーンを構えたわ。
さっきの逃走を見た感じだと、
氷の属性を持つ剣なのかしら?
「このグラディウスで、氷漬けにしてやるわ!!」
陰陽術軍の艦隊に向けて、
冷気を放ちながら睨み付けてる。
「やられた分は、きっちり返させてもらうわよ!!!」
…ああ、うん、まあ、気持ちは分かるわ。
相当、鬱憤が溜まってる様子ね。
敵軍を睨みつける和泉さんを仲間に加えた私達は、
再び陰陽術軍の艦隊に向かって突撃を開始することになったのよ。




