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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
1712/1879

泳げない

《サイド:和泉由香里いずみゆかり



…っと!


…とっ!!


…と~〜〜〜!?



「ぬぅぅぅあぁぁぁ〜〜〜~。死ぬぅぅぅぅ!!!」



体勢を維持しながら必死に海の上を走り続ける。


ルーンを使って幾つもの氷を生み出しながら、

流氷の上を駆け続けているのよ。



「無理無理無理無理ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」



すでに沈没してしまった共和国軍の旗艦から離脱したところまでは良かったんだけどね。


まともな足場がない海の上で逃走を続けるなんて自分でも無茶だと思ってる。



「死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」



周囲を取り囲んでいるセルビナ海軍の艦隊の隙を見て何とか突破しようと考えていたんだけど。


頭上から次々と降り注ぐ陰陽術の攻撃を避けるのが精一杯で、

思うように逃走できずにいたのよ。



「うぅぅ〜。これなら海に潜ったほうが早い気がするけど…何気に私って泳げないのよね〜。」



一度でも海に落ちたら最期なのよ。


服を着て荷物も持った状態の私に助かる術なんてないわ。



…海に落ちたら溺死なんて。



最悪の醜態しゅうたいよね?



戦闘で死ぬんじゃなくて、

溺れて死亡なんて情けなくて笑えないわ。



「絶対に逃げ切るぅっっっっっ!!」



海面を凍らせて幾つもの流氷を作り上げて逃走を続ける。



だけど容赦なく迫り来る陰陽術の全てを回避しきれるほど生易しい攻撃ではなかったの。



突然目の前に降り注いだ雷撃が、

作り上げたばかりの流氷を破壊して逃走を阻んでくれたのよ。



「ちょっ!?」



今のはもう少しズレてたら直撃じゃないのよっ!!



急激に加速する心臓の鼓動。


焦りと緊張で震える体を必死に堪えながら全力で逃走を続けようとしたんだけど。



再び流氷を作り上げようとする私を狙って陰陽術が襲い掛かってくるの。



「「「急々如律令!!!」」」



…うっわ!?



船上から聞こえる声に気付いて死を覚悟してしまう。



…もう逃げ切れないっ!!!



恐怖を感じて瞳を閉じてしまう。


完全に動きを止めて陰陽術の的となってしまったんだけどね。



…って、あれ?



何故か攻撃が降り注ぐことはなかったのよ。


陰陽師が護符を放つよりも前に、

背後から迫る巨大軍船からの攻撃によって、

周囲の軍船が一瞬にして炎上し始めたみたい。



突如として燃え上がる敵船。



その炎に飲み込まれたのか、

船に乗り込んでいた陰陽師達は一斉に体を焼き尽くされていったわ。



「「「「「ぐああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!!!」」」」」



炎が広がって崩れ始める軍船。


その光景に恐怖さえ感じながらも再び逃走を開始したわ。



…これって援軍なのっ!?



目を閉じていたせいで何も分からなかったんだけど。


焼け落ちる軍船の後方に回り込んだことでようやく気付けたのよ。



「あっ!あれは…っ!!」



迫り来る一隻の巨大軍船。


共和国の旗を掲げる船の尖端にいる人物を見て助けが来たことに気付いたの。



「御堂君っ!!」



黒柳所長と並ぶ御堂君が見えたのよ。



周囲にいる女性に関しては見覚えがないけれど。


御堂君の存在を確認したことでひとまず活路を見出だせたわ。



「あの船に合流できれば溺れずに済むはずっ!!」



溺死なんていうぶざまな最期を避けることが出来るのよ!



「こうなったら一か八かよ!!」



敵の攻撃を気にして逃げ回るんじゃなくて、

一直線に船に向かって駆け抜けることにしたわ。



「氷壁っ!!!」



海を凍らせて巨大軍船を目指す。



何が何でも生き伸びる為に!



全力で海上を駆け抜けたのよ。




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