一つの縁
《サイド:御堂龍馬》
「なるほどな!実にきみ達らしい考えだ!!」
…ははっ。
確かに。
そうかもしれないね。
「…きみ達?」
戦闘中にも関わらずに大きな声で笑い出す黒柳所長を見ていた鈴置さんは不思議に思っている様子だね。
だけど僕としては黒柳所長の気持ちが理解できる気がするんだ。
…本当に、鈴置さんに相応しいルーンだよ。
戸惑う鈴置さんの様子を眺めながら、
歩み寄って話しかけてみることにした。
「おめでとう、鈴置さん。きみも特性に覚醒したんだね。」
声をかけてから鈴置さんのルーンに視線を向けてみる。
生み出されたルーンの形状は扇のようだ。
長さはおよそ50センチ程度かな?
広げた扇は鈴置さんの体を覆い隠すのに十分な大きさを持っているように感じられる。
見る者を魅了するきらびやかな光を放つ扇。
可愛さを最優先と宣言していた翔子とは違って、
一切の汚れを感じさせない聖なる輝きがあるんだ。
…文字通りの神器だね。
神聖な輝きを放つ扇は僕のシャイニングソードを上回る神秘的な雰囲気を纏っている。
これが鈴置さんの心の形なんだね。
他の誰でもない唯一無二の心の形。
それがルーンに現れているんだ。
「ははっ。やっぱりきみは翔子に良く似ているよ。」
「…?」
小さく首を傾げる鈴置さんは翔子のルーンを知らない様子だね。
黒柳所長や僕の言葉が理解できずに、
戸惑いながら首を傾げている。
「何がそんなに可笑しいんですか?」
…いや、別に可笑しいというわけじゃないけどね。
「ルーンまで翔子と似ているからだよ。」
「え?そうなんですか?」
やっぱり鈴置さんには分からないようだ。
翔子のルーンを知らないことで、
何が似ているのかも分からない様子だね。
「翔子もこんな感じだったんですか?」
初めて手にしたルーンに視線を向ける鈴置さんの扇の大きさは、
翔子のグロリアスクイーンと比べると倍くらい違うけれど。
『きらびやかな輝きを放つ扇』という意味では良く似ていると思う。
翔子のルーンの大きさは30センチ程度だった。
広げれば60センチほどに広がって色鮮やかに煌めく扇。
30本の骨組みがそれぞれに魔力の核を形成して、
最強の魔術であるアルテマを使用できるようになるという翔子ならではのルーンだ。
その形は今でもはっきりと覚えている。
形状、装飾、色彩、紋様。
それら全てをはっきりと覚えているんだ。
…まあ、形状はともかくとして。
…それ以外は近いものがあるね。
鈴置さんの扇は長さ50センチ程度だ。
持ち手側の先端から5センチほど上の場所から広がる扇のようで、
上部の大きな広がりとは別に下部にも小さな広がりが出来る形状のようだね。
見た目や形そのものはあまり似ているとは言えないけれど。
扇という形を考えた鈴置さんの意志と想いには何らかの繋がりを感じてしまう。
「それも一つの縁なのかな?」
翔子の親友で、翔子と似た性格。
翔子と同じような考え方を持って、
翔子と同じように微笑む。
そしてルーンまでもが扇という共通点には不思議な気持ちを感じてしまうんだ。
「まるで双子のようだね。」
見た目は全く違うけれど。
「………。」
共通点が多く思えたことで微笑む僕を見た鈴置さんは再び首を傾げていた。




