1692/1971
怖がらないで
「大丈夫。大丈夫よ、成美。」
小さな声で囁きながら、
薫が私の身体を優しく抱きしめてくれました。
「大丈夫。私が傍にいるから怖がらないで…」
何度も大丈夫だと囁きながら、
優しく抱きしめてくれたんです。
「怯えないで、成美。」
とても温かな手でした。
「私達は全てを覚悟してここにいるはずよ。」
とても穏やかな声でした。
「誰かが死ぬことも、誰かが傷付くことも、全て分かっていたことよ。」
優しく微笑んでくれたんです。
「大丈夫。私が傍にいるから怖がらないで。私が成美を守るから…私がずっと傍にいてあげるから。だから、大丈夫。」
…う、うん。
…そうだね。
薫の笑顔は慈愛に満ちていて、
不思議と心を落ち着かせてくれる力があります。
「大丈夫よ。私がいるから…ね♪」
…うん。
にっこりと微笑んでくれる薫の表情を見つめただけで、
少しずつ落ち着きを取り戻すことができたんです。
ついさっきまであれほど震えていた身体も自然と収まって、
恐怖で一杯だった心が安らぎに満ちていきました。
そんな不思議な感覚を感じながら、
私は落ち着きを取り戻すことができたんです。
「…あ、ありがとう。」
今でもまだ惨劇が続いているのは何も変わらないですけど。
それでも薫の存在によって恐怖から立ち直ることはできました。




