一瞬で沈む海
《サイド:御堂龍馬》
午前8時を過ぎた頃。
共和国の海軍がセルビナ軍によって完全に包囲された直後に、
僕達も戦場にたどり着いた。
「もうすでに始まっているのか…。」
船首に立って前方を睨みつける。
僕の視線の先には数十隻のセルビナ海軍の艦隊の姿が見えている。
「まずは僕が先行してセルビナ軍に攻撃を仕掛けます!!」
宣言してから黒柳所長に協力を求める。
「船を全速力で進めてください!前方を塞ぐ軍船を破壊しますっ!!」
「ああ、頼む。」
僕の指示を受け入れてくれた黒柳所長は、
即座に西園寺つばめに指示を出してくれた。
「西園寺君。ここは御堂君の指示に従って船を突撃させよう。急いで操舵室に向かって船を加速させるように指示を出してくれ!」
「はい!分かりましたっ!」
黒柳所長の指示を受けて、
即座に甲板から離れる西園寺さん。
その後ろ姿から視線を逸らした黒柳所長が僕に話し掛けてきた。
「きみを信頼している。」
「はい!ありがとうございます。」
お礼を言ってからルーンを生み出す。
まばゆいほどの光を放ちながら僕の手に現れる聖剣の名前はシャイニングソードだ。
僕の身体を覆い隠せるほどの巨大な大剣を構えて、
ルーンに魔力を込めていく。
「味方の船は僕が守り抜きますっ!!」
もう誰も失わない為に。
もう誰も泣かなくて済む未来を手に入れる為に。
全力で聖剣を握り締める。
「共和国は誰にも渡しはしないっ!!!」
死んでいった仲間達の為に!
この一撃に想いを込める。
…これが!
…これが僕の力だっ!!
力一杯、振りかざす聖剣。
僕の魔力を帯びた聖剣が神々しいほどの光を放ち始めた。
「セイント・クルス!!!」
加速する船から放つ魔術が、
30隻におよぶセルビナ軍の艦隊をまっすぐに突き抜けていく。
十字の光が前方の海を切り裂きながら、
一直線にセルビナ海軍の艦隊を飲み込んでいったんだ。
激しく舞い散る水しぶき。
海上に響き渡る爆音。
海を割るほどの大爆発によって、
30隻の船は一瞬にして壊滅してしまった。
「………。」
空から降り注ぐ船の残骸と負傷した兵士達。
共和国軍を取り囲んでいたセルビナ海軍の艦隊は辛うじて沈没を免れた数隻の船だけを残して、
ほぼ全てが海へと沈んでいく。
20隻を越える巨大軍船が一瞬にして沈む海。
共和国軍を包囲していたセルビナ軍は、
僕の攻撃によって瞬く間に瓦解してしまったんだ。




