まどろみの心地よさ
《サイド:文塚乃絵瑠》
………。
………………。
………………………。
…へ?
…あれ?
…何、これ?
ぼんやりとした意識の中で、
何かよくわからない違和感を感じたわ。
何故か、口が塞がれているような気がしたのよ。
温かくて柔らかな感触の何かに唇を塞がれているような?
そんな不思議な感覚で、
そこはかとなく甘い香りも漂っているような?
そんな気がしたの。
…これは何?
完全に寝ぼけている頭で考えてみるけれど。
すぐには答えにたどり着けなかったわ。
…これって、夢?
温かくて、柔らかくて、優しい感触に、
何故か気持ち良ささえ感じてしまうのよ。
…ん~。
…良い匂いもするわね~。
目覚める直前の寝ぼけた状態で、
良く分からない心地良さに包まれていたの。
…何となく気持ち良いかも。
甘い香りと柔らかな感触に心地良さを感じたのよ。
…だけど。
それは長くは続かなかったわ。
柔らかな感触を感じたことで、
ゆっくりと眠りから目覚めたから。
そうして少しずつ意識が覚醒して、
ゆっくりと瞳を開いたその瞬間に気付いてしまったの。
…って!?
…んなぁっ!?
…えええええええええええええええぇぇっ!!!
目の前で起きている現実に気付いてしまったのよ。
…ちょっ!?
…何でっ!!!
朝一の目覚めから混乱状態になってしまったわ。
自分のおかれている状況に戸惑ってしまって、
まともに考える余裕がなかったの。
…何でっ!?
私の目の前に瞳を閉じて唇を重ねている美咲さんがいるのよ。
…うわあああああああっ!!!
…油断してた~っ!!!!!
焦って動きを止めてしまった間に、
美咲さんは舌は使わない代わりに、
私の唇をたっぷりと味わっていたわ。
…ぬああああああああっ!!!
心の中で叫んでしまう。
抵抗することにまで意識が回らなくて、
全身を駆け抜ける悪寒を感じながら必死に思考を巡らせてしまったのよ。
…そんなっ!?
寝込みは襲わないって言ってたのにっ!!!!
そう思った瞬間に美咲さんが瞳を開いて無言で見つめ合ってくる。
「………。」
………。
お互いに沈黙。
キスを止めない美咲さんと混乱状態の私。
二人でじっと見つめ合ってる。
…な、何なのっ?
戸惑う私を見ていた美咲さんが、
不意にニコッと微笑んでくれたのよ。
…って!!
…違~~~~う!!!
美咲さんの笑顔を見て慌てて混乱から立ち直った私は、
ようやく美咲さんの体を押し退けることが出来たわ。




