心も体も魂さえも
《サイド:芹澤啓輔》
…里沙。
まっすぐに妹の姿だけを見つめる。
俺は今、ただ一つの想いの為だけにこの場所にいるからだ。
…お前は俺のモノだ。
他の誰にも渡しはしない!
里沙だけが心から愛する存在だった。
『兄妹』としてではなく、
一人の『女』として里沙を愛している。
…お前は俺のモノだ。
周りにどう思われようとも構わない。
周りに何を言われようとも気にしない。
この想いだけは決して揺るがないからだ。
…お前を誰にも渡しはしない!
その心も。
その体も。
その命さえも。
誰にも触らせはしない。
誰にも触れさせはしない。
誰にも触られたくはない。
誰にも触れられたくはない。
…それは誰にもだっ!!!
はっきりと言えば矢野百花が手を繋いでいることさえも本来なら許されない出来事なのだが、
今は辛うじて我慢している状況になる。
…目障りだが、今はまだ米倉宗一郎には逆らえないからな。
今の俺の実力では長野淳弥と矢野百花はともかく、
米倉宗一郎だけは排除できないだろう。
おそらくは10秒と持たずに制圧されてしまうはずだ。
それだけの実力差が分かっているために、
今は大人しく耐え続けるしかなかった。
…だが、それも今だけだ。
里沙に触れて良いのは俺だけだ。
…他の誰にも渡しはしない!
矢野百花さえも憎しみの対象として見る。
それでもこの状況では里沙には手が出せない。
その程度のことは十分に理解しているつもりだ。
…ここで暴れて、里沙から引き離されては意味がないからな。
アストリア王国との戦争においては真実を知ることが遅れたせいで、
俺が海軍に参加する前に里沙は船に乗ってジェノスを出てしまっていたのだが今回は状況が違う。
すでに公開された情報。
戦争という戦いにおいて戦力の募集がかかった時に、
俺は堂々と里沙に近付く計画を立てた。
それがつまり今の状況であり、
戦争への参加でもある。
…里沙に接近する為に今は見逃してやろう。
今ここで里沙をさらっても逃げ切ることは難しいからな。
大人しく状況を眺めることに徹する。
…だが、今だけだ、里沙。
俺がお前を許すのは今だけだ。
だからこそ。
…お前が隙を見せれば、その時に俺はお前を手に入れてみせる。
共和国の未来になど興味はない。
魔術が存在する意味にも興味を持たない。
そもそも戦争において命を賭けるつもりなど全くない。
ただただ里沙を手に入れることだけしか考えていないからだ。
…逃がしはしない。
お前は俺のモノだ!!
心も体も魂さえも…全てを求め続ける。
芹澤里沙という存在の全てを求めているのだ。
…愛しているぞ、里沙。
この世界の何よりも。
…ただ『お前だけ』を愛している。
一心に想いながら里沙の姿を視線で追い続ける。
その視線に怯える妹の姿でさえも、
俺にとっては愛おしい姿にしか映らない。
俺に怯える表情も。
強気に歯向かう表情も。
その全てが狂おしいのだ。
…お前の全てを手に入れる!
それが俺に課せられた運命だ!
心の底から信じる愛を心に抱きながら里沙を追い続ける。
いつの日にか里沙の全てを手に入れる為に。
…永遠に里沙を追い続ける!




