大混雑
《サイド:米倉宗一郎》
…ひとまずは、だな。
俺達が乗る馬車は無事に魔術大会の会場でり、
陸軍の本部でもあるグランパレスに到着した。
現在地はグランパレス南側の入口付近だ。
俺の傍には長野君と芹澤君と矢野君に芹澤啓輔君がいるのだが、
ひとまず今はグランパレスの入口に集まって立ち止まっている。
…ふう。
…少し遅いか?
周囲の様子を眺めながら慶一郎の帰りを待っているのだが、
馬車を格納して馬を休ませる為に会場の裏手へと向かった慶一郎はまだ戻ってこない。
…まあ、この状況では仕方がないか。
周囲の状況を見れば文句を言えない状況なのはすぐに分かる。
竜の牙の襲撃によって各所に被害が出ているのは一目瞭然だからだ。
それになにより、
竜の牙との戦闘において一般人を守る為にグランパレスを避難場所として使用したことが
慶一郎が戻って来ない最大の理由だと思われる。
…警備が強化されているのは良いのだが。
人通りが多すぎて思うように馬車が進まないのだろうな。
町の各所からグランパレスへと逃げ込んできた人々によって、
会場内部には多くの人々が集まっている。
戦闘の終了が明らかとなった現在は、
グランパレスから町に戻る人の波によって入口近辺は混雑状態にあった。
そんな人込みを避けつつ、
慶一郎の帰りを待ち続けているのだ。
多くの人々が会場から溢れ出てくる様子を眺めながらも今は待つことしかできない。
「…さて、まずはこれからどうするかだな。」
多くの人々が行き交うグランパレスを見渡しながら、
これからの行動に関して思案してみる。
すでに雨は過ぎ去って朝日が姿を見せる早朝だ。
周囲の喧騒や竜の牙との戦いによる被害を眺めながら、
これからどうするべきかを考えてみた。
…まずは戦力の強化だろうか?
俺の傍には長野君が控えていて、
更にその傍には芹澤里沙君と矢野百花君が手を繋ぎながら立ち並んでいる。
そしてその二人から少しだけ離れた場所に、
芹澤里沙君の兄である芹澤啓輔がいるという状況だった。




