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THE WORLD  作者: SEASONS
4月21日
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1648/2439

北条辰雄の不在

《サイド:オルバ・レグリック》



午前5時を過ぎただろうか?



激しく降り続けていた雨も今では完全に止み、

空を埋め尽くしていた雨雲は風と共に姿を消している。



地面は大雨の影響でぬかるんではいるものの。


どのみち土と血で汚れるのだからな。



戦場においてはさほど気にするほどではないだろう。



「ひとまず雨は過ぎ去ったようだな。」



小さく息を吐いてみる。


共和国軍の半数を率いる俺は現在、

残る半数を率いるリン・ラディッシュと国境警備隊の隊長である鞍馬信彦の二人と共に、

本陣において今後の作戦会議を行っているところだ。



「さて、これからセルビナ軍がどう動くのかが問題だが…。」



どういう方向で話を進めるべきかを考えて言葉をとぎらせる。



国境を挟んで東側に共和国軍が布陣して西側にセルビナ軍が布陣しているのだが、

セルビナ軍は国境に姿を現してから今に至るまで全くと言えるほど動き出す気配がなかった。



互いの軍を睨み合いながらすでに1時間ほどの時間が経過しているにもかかわらず、

セルビナ軍は部隊を待機させたまま静観を続けているのだ。



「何か動けない理由があるのかしら?」



不気味すぎるほど静かなセルビナ軍の様子を眺めるリンが小さく呟いている。



リンが率いていた1万の部隊もすでに俺の部隊と合流しているために総勢3万に及ぶ全ての戦力を国境へと集結させているのだが、

対するセルビナ軍の全貌を俺達はまだ把握できていない。



「偵察部隊は帰ってこないの?」



…ああ、まだだな。



「派遣した偵察部隊は今だに帰還していない。」



すでに2回送り込んでいるのだが、

誰一人として戻ってこなかった。



「もう一度派遣してみたら?セルビナ軍の状況さえ分かれば、こちらも作戦を立てやすいと思うんだけど?」



…残念だが、それは難しいだろうな。



首を左右に振ってから、

リンの提案を否定する。



「再び偵察部隊を派遣しても全滅するのは目に見えている。それに下手にセルビナ軍を刺激して本格的な戦闘が始まれば、もはやあとには退けなくなるからな。一度戦いが始まればどちらかが全滅するまで止まらないと分かっているからこそ、セルビナ軍も動けずにいるのだろう。」



セルビナ軍の詳しい状況は分からないものの。


一旦、戦闘が止まってしまった以上。


次に動き出す時が総力戦になるのは明らかであり、

どちらの軍にとっても多大な被害が出るのは避けられない。



「向こうは援軍の到着を待ってるとか?」



…どうだろうな。



実際にどうかは分からないが、気になることはある。



偵察部隊は全滅させておきながら、

戦う意志を見せないというのはどういうことだろうか?



じっと静観を続ける理由が分からない。



例え援軍を待つにしても、

明らかに疲弊している状態の共和国軍を放置してまで軍を留める必要はないはずだ。


弱っている状態の共和国軍を追い込みながら援軍の到着を待てば良い。


それが最良の作戦のはず。



…それなのに動かないのは何か裏があるのか?



あるいは動かないのではなくて、

動けないのだろうか?



何らかの理由があるのは間違いないはずだ。



なのに、その理由が分からない。



…せめて北条辰雄がいれば。



セルビナ軍の動きに関して対策の考えようもあるのだがな。



本来ならセルビナ軍との戦いにおいては北条辰雄が共和国軍の指揮をとるはずだったのだ。



だがその前に北条辰雄が戦場で倒れたうえに、

ウィッチクイーンの部隊によって連れ去られてしまったらしい。



そのため、戦争において最も頼りになるはずだった北条辰雄がここにはいないのだ。



…こうなってしまった以上は鞍馬信彦に指揮を任せるべきだろうか?



他に候補がいないことで、

北条辰雄の腹心ともいえる鞍馬信彦に視線を向けることにした。



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