7カ国
《サイド:シェリル・カウアー》
「さあ!もうすぐイーファの国境に着くわよ!!」
「「「「「………。」」」」」
…いやいや。
その態度はどうなの?
私の後ろに並んで一緒に行動している仲間に声をかけてみたんだけどね。
誰一人として返事をしてくれなかったのよ。
…はあぁぁ。
今でこの状態だと、先が思いやられるわね。
…まあ、初遠征だから仕方がないけれど。
ランベリア多国籍学園で1位の成績を持つ私はこれまでに幾度も周辺諸国を活動してきた経験を生かして集団の先頭を進んでいるんだけどね。
すぐ後ろにいるグランバニア魔導学園の生徒はすでに疲れの色が見え始めているのよ。
1位の澤木京一を筆頭に、
2位の盛長康平、
3位の筑紫美優、
4位の那岐知美、
5位の菊地英樹。
5人を引き連れながら、
セルビナ王国の西に位置するイーファを目指して行動しているんだけどね。
京一達の足取りは芳しくないわ。
誰も彼もが疲労感満載で俯いてしまっているのよ。
…はぁぁぁぁぁ。
こんな調子で大丈夫なのかしら?
色々と言いたいことはあるけど。
ひとまず今は余計なことは言わないわ。
変に無理をされるよりは、
大人しくしてくれているほうが扱いやすいからよ。
「今更聞く必要はないんだけど、国境越えの準備は出来ているわね?」
あと少しで中立国イーファの領土に入るわ。
…まあ、中立国と言ってもね。
魔術師に対しては中立ではないから、
共和国と対立関係にあるのは間違いない。
周辺諸国に関しては非戦争を掲げているから中立国として認識されているけれど。
私達が所属する共和国との関係は全くと言っていいほど良好じゃないのよ。
…共和国の味方なんて一つもないから。
共和国以外に対しての中立でしかないの。
今はすでに存在しないアストリア王国を含めて、
軍事国家ミッドガルムにセルビナ王国。
そしてアルバニア王国とカーウェン連合国の5ヵ国とは良好関係にあるみたいだけどね。
…ちなみに。
それらの国にファンテリナ魔導共和国を含めた7ヵ国が大陸南部の国々の全てになるわ。
全7ヵ国の中だとイーファの軍事力が最も低いでしょうね。
大陸全土で見ても最下位に位置すると思うし、
共和国と比べても弱小国なのは間違いないわ。
だけどイーファは国家規模で貿易に力をいれているから、
資金力だけで見れば大陸有数の富裕国でもあるのよ。
今回、私達はイーファに潜入して、
魔術師狩りによって逃亡生活を余儀なくされている魔術師達を救出して共和国への亡命を手助けするという指令を受けてセルビナ王国内を行動しているんだけどね。
「みんな大丈夫?」
「あー、うん。無理と言うほどではないけれど…さすがに休憩なしで一国を横断するのはシンドイね。」
心配して声をかける私に京一が代表して答えてくれたわ。
だけど決して休もうとは口にしなかったのよ。
今回の目的は他国の魔術師の救助だけど。
同時に京一達の修業も兼ねているから辛いとは言えないんでしょうね。
…私はその場にいなかったけれど。
ウィッチクイーンとの戦いにおいて惨敗したという話は聞いているわ。
かすり傷一つ付けられずに全滅するという結果を出してしまったみたいね。
だからこそ今以上の力を求める為に、
ギルドと私の協力を得て今回の作戦に参加したのよ。




