当然の報い
《サイド:芹澤里沙》
「当然の報いだ。」
淳弥が倒れたことで満足したのかな?
「それで…あの男はお前の何だ?」
落ち着きを取り戻した様子の変態が、
今度は私に話しかけてきたのよ。
…でもね?
…何って聞かれても困るわよね?
「ただの知り合いよ!」
…身代わりとも言うけどね。
さらっと答えてから百花の体に抱き着いてみる。
「ちょっと躓いて寄り掛かっただけよ!」
「………。」
適当に答える私の言葉を全く信用していない様子だけど。
淳弥が倒れたことで、
それ以上の追求は行わなかったわ。
「里沙に触れる『男』は全員俺が殺す。」
…う~ん。
意識を失って倒れた淳弥を全く気にしてないのはまあ良いとして。
馬車に乗り込んで出発を待つつもりなのは問題よね?
とりあえずは一切関わりたくないキモい兄の様子を眺めながら、
百花と二人で淳弥の傍に駆け寄ってみることにしたの。
「もしも~し。大丈夫~?」
小声で問い掛けてみるけれど、
意識を失ってる淳弥は何も答えなかったわ。
「うぅ~ん。どうする?」
「とりあえず馬車に積み込むしかないんじゃない?」
百花は深々とため息を吐いたあとで、
淳弥の腕を引っ張り始めたわ。
…まあ、そうなるわよね。
とは言え。
私は手を貸せないのよ。
「私が触れるとまた揉めるから…。」
「里沙がふざけるからこうなるのよ。ちゃんとあとで長野君に謝りなさいよ?」
…うぅ~。
「ごめんなさい。」
「本人が起きてから言いなさい。」
そっと叱りながら淳弥を引きずる百花だけど。
百花一人では淳弥を馬車に引き上げられないみたいね。
「はぁ…。」
「手を貸そうか?」
疲れてため息を吐く百花に神崎さんが歩み寄ってきたの。
そうして百花から淳弥の体を受けとった神崎さんが、
馬車の中に押し込んでくれたのよ。
「意識を取り戻させるのは簡単だが、また揉めかねんからな。今は大人しく眠っていてもらおうか。」
「あ、はい。」
淳弥の治療を放棄する神崎さんの判断に同意してから、
私達も馬車に乗り込むことにしたのよ。
もちろんキモイ兄から離れた場所を選んで距離をとるのは忘れないけどね!
腰を下ろす私達とキモい兄の間で意識を失ってる淳弥が程よく障害物の役割を果たしてくれているわ。
「まあ、これで良いかな?」
「良くはないわよ。ちゃんと長野君に謝るのよ?」
「はぁい…。」
しょんぼりと肩を落として俯いてしまう。
そんな私の頭に手を置いて頭を撫でてくれる百花は何だかんだで優しかったわ。
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
百花に感謝してひとまず騒ぎが収まった頃に、
少し遅れて米倉元代表が到着したのよ。




