1564/1564
隣町へ
《サイド:米倉宗一郎》
「遅くなってすまない。待たせて悪かったな。」
謝罪しながら馬車に乗り込んでみたところで、
馬車の中央で倒れている長野君に気付いた。
…ふう。
…またか。
おそらく芹澤君の暴走によって揉めたのだろう。
簡単に分かってしまうからこそ、
あえて何も気にしないことにした。
…下手に口出しをすれば長野君の負担が増しそうだからな。
あまり良くはないが、
気を失っているほうが安全なのは間違いない。
…今はそっとしておくべきだな。
間違いなく長野君は被害者のはずだと判断しつつ、
空いている場所に腰を下ろしてから慶一郎に話し掛けることにした。
「出発してくれ。ひとまず隣町へ向かおう。」
「はい。」
指示をだす俺の言葉に従って、
慶一郎が手綱を握る。
「少し急ぎますので、馬車の揺れに気をつけて下さい。」
「ああ、頼む。」
ガタゴトと音を立てながら動き出す馬車。
学園の校門をくぐった俺達は、
町の中を西に向かって移動することにした。




