最後の意地
《サイド:近藤誠治》
…行かれましたね。
一人で部屋に残った私は、
御堂君と米倉様の無事を祈りながら亡き二人の孫の姿を思い浮かべました。
…悠護。
…悠理。
「どうか御堂君と米倉様の無事を見守ってあげてください。」
二人の無事を願います。
そして私も動き出すことにしました。
次の代表選において御堂君を推薦出来るように。
そして自らの引退を定めるために…です。
「老人の出番はここまでです。ここから先の未来は若き者達に委ねるべきでしょう。」
もはや悔いはありません。
…いえ、違いますね。
もっと早く、引退するべきだったのです。
気付くのが遅すぎました。
…決定的な過ちを犯していたことを。
人を見抜く目には絶対の自信を持っていたのですが、
ただ一人の孫娘の才能を見抜けなかったこと。
悠理の心と存在に目を背けて、
冷たくあしらってしまったことを悔やんでいました。
だからこそ身を引く決断が出来たのです。
事実を知らされた時の絶望。
間違いに気付かせてくれた御堂龍馬という存在を私は高く評価しています。
…私の失敗を指摘したのは彼が初めてですからね。
そう思うからこそ、
御堂君に全てを托す決心が出来たのです。
「御堂君に全てを委ねる為に。私は私に出来ることをさせてもらいます。」
自らの潮時を感じ取ったことで、
表舞台から立ち去る覚悟を決めました。
「御堂君。きみに全てを託しましょう。」
そのために。
最後の作業に取り掛かることにします。
…次の代表には何としても御堂君を選出させて見せますよ。
間違いを犯した老害の最後の意地として、
彼に最高の舞台を用意するための下準備に取り掛かることにしました。




