実力の測定
《サイド:御堂龍馬》
黒柳所長は何も知らないらしい。
…そうなると。
秘宝に関する情報は僕だけが知っているということだろうか?
成美ちゃんと栗原さんには千里の瞳に関して説明したけれど。
他の秘宝に関する情報はふせてある。
米倉さんが密かに封印した秘宝の力と行方には謎が残るけれど。
成美ちゃんが千里の瞳を所持していることは、
米倉さんを除いて僕と成美ちゃんと栗原さんしか知らないはずだ。
…秘宝に関してはもう誰にも話せないからね。
真実を知る人は少ないほうが良い。
僕と成美ちゃんと栗原さんだけで十分だ。
黒柳所長には話すべきかと考えたけれど。
米倉さんは何も言わなかった。
だから僕も話さないほうが良いと思う。
それがきっと黒柳所長のためだろうからね。
だから秘宝に関する質問を控えることにしたんだ。
「まあ、現段階で話し合えることはそれほど多くはないんだがな。」
黒柳所長は小さくため息を吐いてから言葉を続けてくれた。
「ひとまずこれからのことを考えよう。俺達は現在、セルビナ王国に向かっているわけだが、戦争に参加するにあたって、それぞれの実力を確認しておきたいのだ。」
…なるほど。
…実力の確認か。
確かにそれも必要な判断だと思う。
「藤沢君。説明を頼む。」
「はい。」
黒柳所長の指示を受けた藤沢さんが僕達に視線を向けた。
「それでは、私から説明させていただきます。」
黒柳所長に代わって説明をしてくれるようだね。
「今後の戦略を決めるにあたって、みなさんの実力を測定したいと思います。どの程度の実力があり、どの程度に戦力として考慮できるのか?そういう試験です。」
はっきりと実力を試す為の試験と言い切った藤沢さんは真剣な表情で言葉を続けていった。
「御堂君に関しては不要と考えていますが、他の4人に関しては不透明な部分が多いので一度調査したいと思います。戦闘能力としての調査はもちろんですが、今回は生存率も調査するつもりです。まあ、この生存率に関しては前衛か後衛か、という程度の簡単な確認ですが…。」
前線部隊として戦えるのか?
それとも後方支援に徹するべきか?という調査のようだね。
栗原さんに関しては攻撃力に乏しいから後衛は確定だけど他の3人は不明だ。
鈴置さんはそこそこの攻撃力を持ってるようだけどね。
だからと言って前線に送り込んで戦えるかどうかは別問題になる。
それら適材適所を判断して最も効率の良い戦術を考える為に、
全員の能力を調べる必要があるということだと思う。
「一応、御堂龍馬君を含めて5人全員の能力を再調査します。その結果を考慮して今後の方針を決めたいと思います。」
「あの…それって、私も…ですか?」
淡々と告げる藤沢さんの話を聞いて成美ちゃんが問い掛けていた。
学園にすら所属していないことで不安な様子だけどね。
魔術師としての実力に最も謎の多いことで、
藤沢さんは当然とばかりに頷いている。
「もちろんです。この船に乗る限り争いは避けられません。無駄に命を落とさない為にも調査に協力していただきます。」
「………。」
迷うことなく答える藤沢さんの言葉を聞いて、
成美ちゃんは戸惑いを感じているように見えたんだ。




