復讐の始まり
《サイド:???》
…ここが。
…ここがミッドガルムの王都なのね。
私の目の前に、王都の門があるの。
門番らしき兵士達の姿は何人か見えるけれど、
特に警戒している様子はないわね。
通行人は誰もが普通に出入りしているから、
通行証が必要ということはないみたい。
戦時中という名目で入場規制が行われていたらどうしようかと心配していたけれど。
どうやらその心配は無駄だったようね。
「やっと…やっとたどり着いたわ!」
深々とため息を吐いてしまう。
ここに来るまでがとても長かったからよ。
『あの場所』からここに来るまで予想以上の距離があったけれど。
…だけどね。
ようやくここにたどり着いたの。
「もうすぐ。もうすぐよ…」
憎しみを込めた言葉を囁く。
私の心の中は抑えきれない憎悪が渦巻いているわ。
…許さない!
…絶対に!!
…絶対に許さないわっ!!
たった一瞬だけでも恐怖を感じてしまった自分自身すら許せないほどに。
私の心は狂っているの。
…必ず。
…必ず復讐してみせるっ!!
「市村、浦谷…覚悟は出来ているわね?」
心に秘めた憎悪を隠そうともせずに背後の二人に呼び掛けてみると。
「菜々ちゃんと一緒ならどこへでも!」
「俺も菜々子と一緒ならどこまででもついていくぜっ!」
二人とも笑顔で答えてくれたのよ。
…ふふっ。
思わず笑ってしまったわ。
…この二人は変わらないわね。
正直に言えば二人の発言は馬鹿げていると思ってる。
だけどこの二人がいたからここまで辿り着けたのも事実なのよ。
二人が私の為に頑張ってくれたことは十分に理解しているわ。
だからあからさまに馬鹿にするつもりはないけれど。
私の心の中にはもう…愛も友情も、
感謝の気持ちさえも存在しないの。
…今はただ、共和国を滅ぼすことだけしか考えられないから。
アストリア王国を。
王都に住む家族を。
大切な友人や沢山の想い出を奪い去った共和国の魔術師を…私は絶対に許さない!
私を苦しめる絶望の原因が『兵器』にあるのなら、
今度こそその力で共和国を滅ぼしてみせるわ!!
…復讐には復讐を。
滅びる寸前の王都から逃れて生き残った私達が、
アストリアが消滅する前にミッドガルムまで逃れた理由はただ一つ。
…もう一度、兵器を作り上げるためよ。
企画から制作。
そして管理と維持まで携わっていた私達ならもう一度兵器を作れるわ。
…今度こそ共和国を滅ぼすのよ!
全てを奪った共和国に、
私が味わった絶望を与える為に。
ミッドガルムの王都へと歩みを進めていく。
「…行くわよ。」
「ああ!」
「おう!」
呟きながら歩みを進める私の後ろを市村と浦谷がついてくる。
…必ず共和国を滅ぼしてみせるわ。
その想いだけを生きる目的として、
私達は王城を目指して王都の内部へと足を踏み入れたのよ。




