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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1523/1564

粗食の理由

《サイド:栗原薫》



…う~ん。


…何となく場違いな雰囲気よね?



海軍の船の一室。


会議室に漂う緊張感がどうにも落ち着かないのよ。



そもそも知らない人ばかりだから。


どう接すればいいのかがよく分からないわ。



…はあ。


…早く終わらないかな?



隣に座る成美ちゃんと手を繋ぎながら、

今後に関しての話し合いが始まるのを待ってみる。


私としては落ち着かない状況なんだけど。


成美ちゃんはあまりこの状況を気にしてない様子ね。



「お腹が空きましたね♪」



…あ~、うん。


…まあ、ね。



気持ちは分からなくもないけど。


この状況で緊張感を感じてないのかな?



それはそれでどうかと思うんだけど。



「最近まともに食事をしてないから、そろそろちゃんとご飯を食べたいかな。」



…なんて思ったりはするわ。



視線を動かしてテーブルを眺めてみる。


夕食として用意してもらえた料理は、

お世辞すら言えないほど淋しい内容だったりするのよね〜。



パンを中心とした軽食っていう感じ?



そこまではまあ、良いんだけど。



ちょっとした食材が並んでいる程度の淋しい食卓だったのよ。



ご馳走という言葉と真っ向から対立する質素な料理?だったわ。



…まあ、お腹一杯にはなれるかもしれないけど。



味は期待できない感じよね。



…質よりも量っていうことかな?



だとしたらそれはそれで良いと思う。


別にお食事会をするためにきてるわけじゃないしね。



一応、戦争中なんだし。


食べられるだけ有り難いと思うのよ。



…まあ、それはそれとして。



とりあえず適当に室内を見渡してみる。



…これからどうするのかな?



そんなふうに考えていると。



「さて。それではひとまず会議を始める前に、全員の自己紹介を終えてしまおうか。」



この船の船長である黒柳さんが話し始めたのよ。



「ひとまず俺からだが、ジェノス魔術研究所の地下にあるルーン研究所の所長を務める黒柳大悟だ。今回は俺が海軍の指揮をとることになっている。」



…ふ~ん。


…海軍の指揮官ね~。



個人としての最高戦力は御堂君だけど。


軍の指揮権は黒柳さんにあるということよ。



まあ、この辺りは当然の判断だと思うわ。



いくら御堂君が強くても部隊の指揮が取れるかどうかは別問題だし。


軍師としての才能のある人が指揮官を務めるべきだと思うしね。



「そして俺の右側の席に座っているのが西園寺つばめ君だ。彼女はルーン研究所の副所長であり、この場においても俺の副官と言う立場になっている。」



…へぇ~。


…この人が副官なのね。



見た感じからして出来る女っていう雰囲気が漂っているのが分かるわ。



…そう言えば、さっき通路ですれ違った人よね?



どういう理由で揺れる船内をまっすぐに歩けるのか聞いてみたい気がするわ。



「続いて俺の左側に座っているのが藤沢瑠美君だ。彼女は研究所の分析班の責任者を務めているのだが、今回は西園寺君の補佐として同行してもらっている。」



…ん~。



副官の補佐って、何だか微妙な立場よね?



重要なのかそうでもないのかが分かりにくい気がするわ。



…でも、まあ。



こうして同席してるからにはそれなりの立場と言うか、地位にいるのは間違いないでしょうけど。



「ひとまず俺達の説明はこの程度だな。」



自己紹介を終えた黒柳さんは、

次に私達に視線を向けて簡単な紹介を始めてくれたのよ。



「御堂君に関しては説明などいらないだろう。残る4人だが、御堂君の右隣りが常盤成美君だ。そして端に座っているのが栗原薫君になる。反対に御堂君の左側に座っているのが鈴置美春君で、端に座っているのが森下千夏君だな。」



簡単に名前の説明を行ってから、

黒柳さんはテーブルに視線を落としたわ。



「本来ならもっとちゃんとした夕食を用意したいところなのだが、あいにくこの天気のせいで波が激しく荒れていてまともに料理が出来なくてな。仮に作れたとしても波で船が揺れる度に料理が皿から転げ落ちていくのは目に見えているから、申し訳ないが今日はこれで許してほしい。」



…ああ、なるほど。



料理が質素なのは海軍の方針とかそういうことじゃなくて、

作りたくても作れなかったっていうことなのね。



だとしたら文句なんて言えるわけがないわ。



そもそもの前提として抗議するつもりもないけどね。



他の人達も気にしていないように見えるし、

言うべきことは何もないのよ。



…まあ、この状況ならこのくらいが当然かな?



他の人がどうかは知らないけれど。


成美ちゃんは笑顔を浮かべてる。



…うんうん。


…可愛いわね~。



個人的には成美ちゃんがいれば不満なんて何もないしね。


そんなふうに思えるくらいには今の状況に満足しているのよ。



…成美ちゃんと一緒なら、どんなご飯でも文句なしっ!



なんて、自分自身を笑いたくなる気持ちを感じながら成美ちゃんに話しかけてみる。



「欲しいものがあったら遠慮せずに言ってね~。すぐにとってあげるから」


「あ、はいっ♪ありがとうございます♪」



喜んでくれる成美ちゃんの笑顔だけで私は満足なのよ。



そんなささやかな幸せを感じる私に、

成美ちゃんはニコニコと微笑んでくれているの。



…はぁ~。


…可愛すぎっ!



なんてね。


くだらないことを考えてる間にも、

黒柳さんは話を進めていたわ。



「ひとまず食事を済ませてしまおう。具体的な話し合いはそれからだ。」



会議は後回しになって、

静かな雰囲気の中でちょっぴり淋しい夕食が始まったのよ。




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