千夏の殺気
《サイド:鈴置美春》
………。
…全員で8人かな?
案内された席に座りながら周囲の様子を確認してみたんだけどね。
とりあえず今は8人が集まっているみたい。
会議室の中央には長方形の大きなテーブルがあって、
奥側の中心に黒柳所長が座ってる。
その両隣には名前の知らない女性が二人いるんだけど。
多分、研究所の人でしょうね。
そして出口に近いこちら側はテーブルの左から順番に千夏、私、御堂先輩、
可愛らしい女の子、白いセーターの女の子の5人が座ってるわ。
…なんて言うか。
…知らない人ばっかりよね。
名前を知ってるのは魔術研究所の黒柳所長と御堂先輩くらいで、
あとは千夏だけなのよ。
それ以外の4人は全く知らない人だったりするわ。
…これってどういう集まりなの?
…って言うか、女の子ばっかりよね?
男性が2人で女性が6人の集まりなのよ。
…一応、主戦力が集まってるはずなんだけど。
…何となく偏りすぎじゃない?
知らない人ばかりだから実力がどうなのかは知らないけれど、これで良いの?
…まあ、これから向かう先で他にも戦力となる人はいると思うけどね。
ひとまず大人しく席に座って話が始まるのを待ってみる。
その間に隣にいる千夏が、
何かをボソボソと小声で私に抗議してるけれど。
あえて気にしないことにしておくわ。
「御堂先輩の隣に座りたい。座りたいったら座りたい。美春のいじわる。変わってくれても良いじゃない。」
何か言ってる声がはっきりと聞こえてるけれど。
ここはあえての無視よ。
一々、相手にしていたらきりがないわ。
それに席を代われば千夏はきっと暴走するでしょうしね。
ここまできて御堂先輩に迷惑をかけるわけにはいかないのよ。
それは御堂先輩に対してどうこうというよりも、
暴走する千夏を押さえるのが面倒臭いだけなんだけど。
隣でブツブツと愚痴を言われ続けるのも、
これはこれで面倒なのよね。
「うるさいわよ、千夏。」
「だって~っ!」
そっと叱り付ける私に、
千夏が殺気のこもった瞳で睨み付けてくる。
「美春ばっかりずるいわよっ!私だってちょっとくらい幸せを感じても良いじゃないっ!」
意味不明な反論をしてくる千夏だけどね。
「静かにしなさい。」
ばっさりと一言で却下したわ。
「くぅぅ~っ!!!」
悔しさに唇を噛み締める千夏は、
どうしても御堂先輩の隣が良いみたいね。
だけど席を代わるつもりはさらさらないわ。
「ふざけてる場合じゃないのよ?」
言い聞かせようとしてみたんだけどね。
「私は本気よっ!!」
千夏は頬を膨らませて反論してくるの。
…はあ。
はっきりと断言してしまう千夏の言葉を聞いてしまったことで軽い頭痛を感じてしまったわ。
「なおさら却下よ。」
暴走するのが目に見えているのに席を代われるわけがないじゃない。
「大人しくしてなさい。」
とりあえずね。
千夏との会話を打ち切ることにしたの。




